桜の季節に想う ~ どんな寿命にも永遠はない ~
新年明けましておめでとうございます。おかげさまで、行政書士として3回目の正月を迎えることができました。これまで私に関わってくださった全ての方々に深謝するとともに、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
近年では、子供の頃に比べて正月らしさを感じることも少なくなりましたが、私にとっていまだに正月らしさを感じるもののひとつに『箱根駅伝』があります。毎年数多くのドラマが繰り広げられるのが楽しみなのですが、今年も母校の応援はもちろんのことですが、各大学の戦略と実力が如実に表れる5区山登りでの激戦や復路アンカーの熾烈なシード権争いなど、時に手に汗を握りながら観戦していました。仲間の血と汗と涙が染み込んでいるだけでなく、さらに応援し支えてくれているすべての人々の想いも載せた『襷を繋ぐ』ために精一杯走っている彼らを応援しながら毎年たくさんの勇気をもらっている一人です。
そんな箱根駅伝の襷リレーを見ながら、私は人生にも襷リレーがあるのではないかと考えました。思うに、人の人生はそれぞれかけがえのないものであり、汗や涙はもちろん多くの想いを重ねながら生涯を送っています。そして、誰しも必ずその生涯を終える日は必ずやってきます。その時は、ちょうど駅伝選手が懸命に襷を次のランナーに繋ぐように、私たちも否が応でも自分の歩みを止めて、生きていた証である襷を次代の人々に託すときがくるのです。
では、その人の人生の汗や涙や想いはどうすれば伝えることができるでしょうか。多くの人は、そんなことは言わなくてもきっと家族なのだから分かってくれるだろうと考えがちですが、心の中で思っているだけでは伝わらないのが人間です。まして、本人がこの世にいない以上、何らかの手がかりがなければ想いを推し量ることすら困難なのが現実です。あなたの想いを、あなたの大切な人に、正確に伝わるためには、あなた自身の意思表示が必要不可欠なのです。
そんな時に役立つもののひとつが遺言書ではないでしょうか。遺言書というと、ほとんどの方は財産の分け方を記載するだけのものだと思われるかもしれません。それは決して間違いではないのですが、実は遺言書には付言(ふげん)という項目を作って、遺言者の想いや要望を記載することもできます。例えば、どういう理由でどのように遺産を分けてほしいか、葬儀や埋葬をどうしてほしいか、家族に介護や扶養を必要とする人がいる場合の配慮などを記載することができるのです。私は、残された家族を想い作成された遺言書を目にする度に、その人が精一杯駆け抜けた人生の汗と涙と想いが染み込んだ襷と同じように思えてなりません。
今年も、相続まちなかステーションの加藤俊光は、高齢者の想いを理解できる法律専門職として、ひとりでも多くの方が他人事ではなく自分のこととして、老後の準備を行うことの大切さを理解していただけるようなきっかけや有益な情報をどんどん提供し続けていきます。