遺産分割・相続放棄 『ハンコ代』が適正かどうか、相場を知りたい?!
今月も無事に『相続・遺言に関する無料相談会』を終えることができました。あちこちで秋のイベントが盛りだくさんの土曜日にもかかわらず、ご予約いただいた皆様においでいただいたことにお礼申し上げます。
50代の男女3人が、落ち着かないご様子で連れだってご相談にお見えになりました。
詳しくお話を伺うと、この方々は兄弟姉妹のご関係で、今日はこちらにお見えになっていない兄(長男)がいらっしゃるようで、総勢で4人の兄弟姉妹とのことでした。そして、今年の春にお父様が亡くなり、四十九日と新盆が終わったところで、長男から『みんなに見てほしいものがあるので集まってほしい』と言われたので兄弟姉妹が長男の家に集まったところ、長男から予想もしなかったものを見せられたのでした。
何と長男がみんなの前に出してきたものは、お父様が亡くなる2か月ほど前に書いたという自筆の遺言書でした。そして、その遺言書には『全財産を長男●●に相続させる』とだけ書いてあり、ご長男からは『遺言書があるので、この通りにさせてもらう』とお話があったのでした。
しかし、他の兄弟姉妹の皆さんは、『父が遺言書を書いたとされる時期(遺言書の日付)にはもう認知症がかなり進行していたはずで、自分の意思で遺言書など書けたはずがない。おそらく、兄が無理に書かせたに違いない』と異口同音におっしゃるのでした。そして、次男の方は『こんな遺言書はもちろん無効ですよね』と私に同意を求めてきたのでした。
そこで私は、『いまここに遺言書がない以上軽々に断定はできませんが、自筆証書遺言の要件を満たしているようであれば、まずは家庭裁判所に検認を申し立てる必要があります。ただし、検認は遺言書の存在を確認する手続きのようなものであって、遺言書の内容が有効か無効かを判断するものではありません。皆さんが、当該遺言書がどうしても無効だというのであれば、裁判所に対して別に訴えを起こして判断を仰ぐしかありません。お父様は、おそらく皆さんがそんな不毛な争いをなさることを望んでいなかったでしょう。私でよければ、皆さんの間に入って、話し合いで円満に解決できるような方策をご提案できるのですが』とお話しして面談を終了しました。
いわゆる『終活』という言葉が流行しているようで、遺言書やエンディングノートに関心をお持ちになる方が増えています。それ自体はとてもよいことなのですが、やはり遺言書は争いを可能な限り防ぐために書くべきであり、どんな内容を書くかももちろん大切なのですが、実は書いた後にどのように保管するかのほうがはるかに重要なのです。今回の相談事例のように、遺言書によって一番有利な立場になる方が遺言書を保管することはトラブルの元です。せっかく書いた遺言書がトラブルの種にならないようにするためにも、遺言書の保管は相続人のどなたかがおやりになるのではなく、私どものような公平な立場の専門家に任せることを強くお勧めします。