相続の専門家 『平塚駅前|相続まちなかステーション』 代表の加藤俊光が雑誌に掲載されました
≪お彼岸になってもまだまだ残暑が居座る今月の放送は、2か月ぶりの生放送でした≫
お彼岸に入り夕方暗くなるのがだいぶ早くなったとはいえ、今年はまだまだ残暑が居座ってなかなか秋らしさを感じることができませんが、皆様はいかがお過ごしですか。
今月のFM湘南ナパサ『ひるNapasa』は、2か月ぶりに生放送でコーナー出演してまいりましたので、ご報告させていただきます。
≪番組の内容≫
今月も、先月に引き続き、身近にあるものの中からどんなものが相続財産に含まれるかという視点からお話をさせていただきました。先月は、土地や建物などの不動産、宝石や絵画などの動産、そして借金が相続財産に含まれるというお話をしましたが、今月は少し難易度の高いものを5つほど取り上げて相続財産に含まれるものはいくつあるかを、番組パーソナリティの小林和恵さんに答えてもらいながら、ラジオをお聞きの皆さんにも一緒に考えていただけるような出題にしてみました。
【設問】次のうち、遺産分割行儀における相続財産に含まれるものはいくつあるでしょうか?(含まれるものをすべて選んでください)
1.借金の連帯保証人としての責任
2.身元保証人としての責任
3.生活保護を受ける権利(生活保護受給権)
4.扶養を受ける権利(扶養請求権)
5.慰謝料請求権
さて、相続財産に含まれるものはいくつあるでしょうか。
先月の解説で、相続は原則として包括承継であるということをお話ししました。したがって、被相続人が有していた権利や義務を、一切合財すべて相続人全員で引き受けることが原則となります。
しかし、私たちの身の回りにある権利や義務の中には、その人自身が行使したり享受したりしなければ意味がなくなってしまう、あるいはそもそもの趣旨に反するものもあります。そこで、権利や義務の行使あるいは享受をその人自身に限るものとして『一身専属権』という考え方をとって、相続の対象から外すことにしました。
そこで、今回の設問のなかでどれが一身専属権にあたるかというと、まずは3の生活保護を受ける権利と4の扶養を受ける権利が考えられると思います。また、5の慰謝料請求権は一身専属権に含まれそうな気もしますが、慰謝料と言っても所詮は金銭債権であることから、裁判所も特段の事情がない限り相続財産に含まれると認めているようです。
さらに、1の借金の保証人としての責任も、借金自体が相続財産に含まれるということ、また保証人の責任も単純に金銭債権であることから相続財産に含まれることになります。これに対して、2の身元保証人の責任は少し趣旨が異なり、当事者同士の信頼関係を基礎として締結されるものであることから、特段の事象がない限り原則として相続財産にはならないとされているようです。
以上より、相続財産に含まれるものは、1の借金の保証人としての責任と、5の慰謝料請求権の2つとなります。
≪番組出演の感想≫
今回の出題は、もしも行政書士試験で出題されたとしてもおそらく受験生全員が正解できないくらいの、かなり難易度の高い出題となってしまいましたが、小林和恵パーソナリティは試験における解答方法の王道ともいうべき消去法や他の選択肢との関連性を探ったり、さらには趣旨に基づいて考えるという方法でご自分なりに解答されており、とても感心させられました。
ひとりでも多くの方が他人事ではなくご自分のこととして考えるきっかけをご提供できるよう、来月も頑張ってまいります。最後になりましたが、小林和恵さん、山田博康さん、ナパサの小泉麻子さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。