遺産分割の実態に疎い司法書士の致命的なミスが原因!せっかく遺言公正証書にしたのに相続トラブル!?
今月も無事に『相続・遺言に関する無料相談会』を終えることができました。残暑の厳しいなか、ご予約いただいた皆様においでいただいたことにお礼申し上げます。
60代前半の男性が、『ちょっと聞いてください』と少し興奮したご様子でご相談においでになりました。
詳しく伺ってみると、昨年の秋にお父様が亡くなって、まもなく1周忌を迎えることから2人の弟さんに相続の話しをしたところ、一番下の弟さんから予想外の返事が返ってきて頭にきているとのことでした。
一番下の弟さんは、お若いころからしばしば金銭トラブルや人間関係のトラブルを起こし、警察沙汰になったこともあるそうです。そのたびに父親が尻拭いをしてきたこともあり、お父様もずいぶんと手を焼いてきたようで、生前ご長男に『自分が死んでも、あいつには相続で財産をやる必要などない』とおっしゃっていたとのことでした。そこで、長男はこの父親の言葉をもとに相続の話を進めようとしたところ、弟さんから『兄貴と親父で何を話したかは知らないが相続とは関係ないはずだ。親父は俺にはそんなことひとことも言ってなかったし、自分にも権利はあるはずだから兄貴がひとりで相続するのはおかしいのではないか』という予想外の返事が返ってきたとのことです。
ここまでお話を伺って、私は『お父様は本当に罪なことをなさったなあ』と思わずにはいられませんでした。なぜならば、お父様が本気で三男に相続をさせたくないのであれば、法律に則ってきちんと手立てを打つことができたのであり、またご自身が亡き後に相続人同士で不毛なトラブルを起こさせないためにもそのような手立てを打っておく責任があるからです。
そこで、私は『お気持ちは分からなくもないのですが、残念ながらお父様との会話は今となっては証明のしようがありません。現実にお父様には遺言がなく、また廃除の申し立てや遺留分の放棄といった特別の事情もないことから、弟さんにも相続の権利はあります。まずは、相続人全員で誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議をする必要がありますので、私でよければ相続人の皆さんの話し合いの場を整えて、円満に解決するための方策をご提案できます』と回答させていただきました。
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普段の何気ない会話の中で、『あいつには相続させない』あるいは『全部お前に相続させる』などと簡単に仰る方もいるようです。しかし、相続人の相続する権利を奪うということは、実はとても大変なことであり法律に則った手続きをとらなければ、かえって相続人同士が感情的に対立してしまい修復できないトラブルになるおそれさえあるのです。もし、特定の相続人に相続させたくないという事情のある方は、相続を甘く見ずにきちんとした専門家に相談のうえ、適切な手立てを打っておくことをお勧めします。また、これから相続人となる方も、普段の何気ない会話の中で相続の話をしたとしても、遺言をはじめとした法律にのっとった手続がなされなければ、ただの口約束であり本当にその通りに実現できるとは思わないほうが賢明でしょう。
これからも私は、真の相続・遺言の法律専門職として一般市民の相続・遺言に関する誤解や不安を可能な限り解きほぐして、相続を争続にしないための有益で具体的な予防策をご提供し続けていきます。