いいかげんな遺産分割協議書が届いた! どうして言われるがままにハンコを押してしまったのですか?!
今月も無事に『相続・遺言に関する無料相談会』を終えることができました。雪こそ降らなかったとはいえとても寒い日曜日でした。ご予約いただいた皆様においでいただいたことにお礼申し上げます。
40代の男性が、『名義変更だけで済むと思うのでやり方を教えてほしい』とご相談においでになりました。詳しくうかがうと、現在70代の両親が住んでいる土地・建物は、もともと祖父のものであったが、祖父母が亡くなって20年以上が経ち、両親も高齢になってきたためそろそろ名義変更をしておこうと思うとのことでした。
相続実務に携わっていると、相続財産が不動産のみ、あるいは現金や預貯金があったとしてもそれほど高額ではなく相続財産の大半は不動産のみという事例においては、『相続と言っても土地・建物の名義変更だけだから・・・』と非常に甘く考えている方が多く見受けられるのも事実です。
さらに相談者は『伯母は相続には無関心でありお金にも困っていないし、叔父一家とは絶縁状態で今はどこで何をしているかわからない。したがって、伯母や叔父とは出来れば連絡を取らずに名義変更をしたい』とおっしゃいました。
確かに、現にその土地・建物にお住まいになっている方からご覧になれば、そのように思われるのも理解出来なくはありません。
しかし、いつもお話ししていることですが、残念ながら遺言がなければ法定相続が原則であり、各法定相続人は法定相続分に応じて平等に権利を有することになります。今回の相談者の事例に当てはめれば、祖父母ともおそらく遺言を残していないとのことでしたので、最低でも相談者の父親とその姉、そして父親の弟の3名を相続人として考えなければならないことになります。
したがって、相続人全員が関与して祖父名義の土地・建物をどのように相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議が必要になるのであり、名義変更をするなどという甘いものではないのです。たとえ、叔父と絶縁状態であったとしても相続人であることには変わりなく、叔父を抜きにして相続手続を完了することはできないのです。
また、相談者は相続人が3人だけだと信じて疑わないようですが、万一叔父がすでに亡くなっていたというような場合には、叔父の配偶者や子が数次相続してしまいますので、そもそも相続人が何人いてさらに誰なのかはしっかりと調べてみなければ分からないのです。
思うに、遺産分割協議は『相続人全員が満足するための場』とすべきではなくて『相続人全員が少しずつ不満を引き受ける場』としなければ、当事者の話し合いで相続を円満に解決することは不可能です。
とすれば、相続人を正しく把握するとともに相続財産の内容を明らかにして、相続人全員に話し合いのテーブルについてもらえるような環境を整えることから始めるべきであり、私どもでよろしければ神奈川|湘南・県西地区(藤沢・茅ヶ崎・平塚・小田原)で相続・遺言業務に特化した専門家として、相続人の皆さんが速やかに円満に解決できるような方策をご提供できますとお話ししました。
円満な相続手続きの秘策を知りたい! 相続まちなかステーションに相談する
私は日本全国から、そうでなくともせめて神奈川|湘南・県西地区(藤沢・茅ヶ崎・平塚・小田原)から、『相続と言っても、不動産の名義変更だけだから大丈夫』という誤解や思い込みをしてしまい、後々大変な相続トラブルに巻き込まれてしまう方をひとりでもなくしていきたい。実は、相続で一番揉めるのは不動産を誰が相続するか、あるいは不動産をどう分けるかという問題であり、名義変更などという単純な問題ではなくしっかりとした相続トラブル対策が必要であるという認識を持っていただきたいと考えています。
そのためにも、これからも私は一般市民の方の相続・遺言に対する誤解や思い込みを解きほぐして、適切な助言をし続けることを自らの責務であると考えて、この地区で相続・遺言の法律専門職を続けていきます。