何とか母に遺言書を書かせたいとお考えの方!? そんな人にはこういう方法をお勧めします!
相続対策には2つの視点があるのですが、これらを間違えてしまうと思わぬ相続トラブルを引き起こしてしまうことがあるのです。
女の子ばかり5人のお子さんがいらっしゃるご夫婦がいました。お父様は、ご自分の代で『●●家』が途絶えてしまうことを避けるために、三女のご長男と養子縁組をして跡取りにしようとお考えになりました。そして、ご自身が亡き後の相続対策として知り合いの税理士の助言をもとに遺言を作成し、所有するいくつかの不動産を配偶者である奥様と次女・三女・四女・そして養子縁組をしたご長男の5名で共有登記をするという内容になりました。
ところが、この相続対策が後にとんでもない相続トラブルを引き起こすことになるのです。この遺言は、長女は遠方に嫁いだので相続させなくてもよい、五女はこれまでたびたび金銭トラブルを引き起こしては父親に尻拭いをしてもらったのだから相続させる必要はないとの判断で作成されたらしいのですが、お父様が亡くなられた後にこの遺言の内容を知った五女から『こんな遺言は到底納得できない。出るところへ出ても遺留分を譲るつもりはない』と主張されてしまい、どうしたものかと途方に暮れた三女の方がご相談においでになられました。
思うに、遺言は不毛な相続トラブルを未然に防止するとともに、速やかに円満に相続手続が行われるために書くべきものです。
とすれば、特定の相続人がいいとこ取りをしてしまったり、逆にある相続人がまったく蚊帳の外に置かれてしまうような内容にしてしまえばまとまるものもまとまらなくなってしまいます。すべての相続人に一定の配慮を見せることで相続人全員が少しずつ不満や負担を引き受けることができるような内容にすることが必要なのです。
この点、相続・遺言業務に携わっている専門職は世の中に数多くいますが、残念ながらこの税理士のように『当事者の人間関係が壊れても節税を重視する』ような対応をする人がいるのも事実です。共有登記をすることでどれだけ節税ができたのか、私は税の専門家ではありませんから詳しいことはわかりませんが、相続財産から推測してもせいぜい数十万円程度ではなかったのではないでしょうか。私に言わせれば、わずかな節税ができたとしても、相続人同士が何年にもわたって裁判所で争うことほど不毛なことはありませんし、時間も費用も無駄というほかはないと考えます。
これから相続対策をされる方や相続対策に関心をお持ちの方にぜひ考えていただきたいことがあります。何億あるいは何十億という財産をお持ちの方ならいざ知らず、ごく一般の方であれば相続税についてそれほどご心配される必要はないと断言できます。あなたの相続対策において『相続税対策』は本当に必要かつ優先されなければならないことですか。あなたの亡き後で、相続人同士が『誰が何を相続するかの話し合い』をする際やあなたが作成した遺言を実現する際に思いもよらないトラブルになってしまうようなことは本当にないと自信をもって断言できますか。
自分に最適の相続対策を知りたい 相続まちなかステーションに相談する
私は、日本全国から、そうでなくともせめて私の周囲から、不毛な相続トラブルに巻き込まれて『こんなことになるとは思わなかった』と途方に暮れてしまう方をなくしていきたい。そのためにも、一般の方にはわずかな相続税を節税することよりも、遺産分割協議におけるトラブルを未然に防止することに関心を持っていただきたいと願っています。
そのためにも、これからも私は、ひとりでも多くの方に『争わないための遺言書』のご提案をし続けていきます。