コラム
相続準備は『大増税時代』に惑わされないで! 相続税の節税よりも大切なことをお教えします!
2011年8月17日 公開 / 2018年9月22日更新
先日ひとりの男性が私どもの事務所においでになりました。その方の不安は、『大増税時代が来ると言われていますが、どのような準備をしたらいいでしょうか』という内容のものでした。
確かに、最近では新聞の全面広告を使って大々的に『大増税時代に備える』というセミナーを開催しているところもあるようですから、ごく一般の方が自分にも当てはまるのではないかと不安に思われるのも無理のないことかもしれません。
しかし、震災の影響もあり相続税を課税強化する法案は継続審議となっており、今のところすぐに相続税が課税強化されることはなくなりました。もちろん、5年先あるいは10年先まで相続税の課税が強化されないのかと問われれば、それは何とも言えません。なぜなら、この国の政治には信念あるいは一貫性のあるビジョンというものが全くと言っていいほどないからです。不足する税収をどう補うか、消費税を上げると次の選挙に負けてしまう、かといって所得税や法人税は支持団体がうるさいから上げられない、たばこ税は増税は簡単だけれどもそれだけでは足りない、相続税なら国民は文句を言わないかもしれないのではないかという短絡的なその場しのぎの財政政策がもう20年も前から続いているのです。
誰しも自らの税負担が増えることを望む人はいないことでしょう。まして、一生のうちにそう何度も経験することではない相続の場面において、税金がかかるかもしれないと言われれば不安な気持ちになることも十分理解できます。
ただし、私は、ごく一般の方が仮に相続税を納める必要が生じたとしても、工面することができずに土地や建物を売却して納税しなければならないようなケースはほとんど発生しないと捉えており、前述のセミナーなどでよく勧められるアパート経営やその他の投資をしてまで過度に相続税の対策をなさる必要などないのではないかと考えています。もし、相続について何か準備をしようとお考えになられた方には、相続税の対策に力を入れるよりもまず先に、誰が何を相続するかという遺産分割協議において相続人同士で発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことに対策を講じることを強くお勧めしています。
低迷する経済情勢や希薄化する人間関係のなかで、誰が何を相続するかという話し合いはそう簡単にまとまるものではなくなりつつあります。兄弟が仲が良かったのは子供のころの話で、生まれ育った実家の土地・建物をそのままの形で誰かが相続するか、それとも売却し現金化して等分するかでもみんなが同じ気持ちとは限りません。では、法律通り分ければいいのではないかと言っても、例えば30坪の土地を兄弟3人で10坪づつ分けて相続するわけにはいかないのが現実的なところです。
相続トラブルは、誰にでも起こりうる可能性のある問題で、決して他人事ではありません。しかし、一度きちんとした対策を講じておけば、相続税対策のように国会の思いつきに巻き込まれて無駄になってしまったり、毎年のように税制が改正されてそのたびに煩わしい思いをなさることはほとんどありません。
私は、神奈川でもめずらしい円満解決・争い防止をモットーとする相続対策の専門家として、さして必要とは思われない相続税対策に惑わされることなく、すべての方にもっと有効で役立つ相続トラブル対策をご提案し続けていきます。
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