あなたが終末期に向きあうとき、私はあなたの隣で一緒に考えながら支え続ける法律専門職でありたい
先日、総務省が昨秋に実施された国勢調査の抽出速報結果を発表しました。それによると、初めて単身世帯の割合が3割を超えたそうです。
確かに、日本人の平均寿命は延び続けていますから配偶者との死別や離婚によって単身世帯がある程度増加することは予想できます。しかし、一方で一度も結婚をせずに生涯を過ごすいわゆる生涯未婚率も年々増加しており、2030年には男性では3割、女性では2割が一度も結婚をせずに40代を迎えると予想されているそうです。結婚するかどうかあるいは子供を持つかどうかという選択は、個人の自己決定権の範疇ですから本来は他人が干渉すべきものでないのが原則です。ただし、低迷する経済情勢の中での将来への不安や非正規雇用の立場に置かれていることで、結婚したいのに積極的に結婚を考えることができない人たちがいるのも事実であり、何らかの対策を講じなければこの国は本当に大変なことになってしまうのではないかと大きな危機感を持っています。
ところで、単身世帯が増加することは、それに比例して相続の問題もまた増加することになります。単身世帯の方とお話をすると、大半の方が『自分はひとりだから相続人は誰もいない』あるいは『自分が亡くなった後は関係ない』などと言われます。しかし、実はこれは大きな誤解で本当に相続人がひとりもいないという方はほとんどいません。配偶者や子がいなくても、親兄弟や場合によっては甥や姪が相続人となるのです。相続トラブルというと財産の取り合いになることが多いのですが、単身世帯の相続の場合はむしろ財産関係の押し付け合いという新たなトラブルを引き起こす可能性を包含しているのです。人間関係が希薄化している現代ですが、きちんとした遺言を作成しその中で遺言執行者を指定しておけば相続トラブルはほぼ未然に防止することができるのです。私は、単身世帯の方にこそ、自らの亡き後で多少なりとも血筋の繋がった方に予想外のご迷惑をおかけしないためにも、ぜひとも遺言という手段を検討してみていただきたいと考えています。
これからも、ひとりでも多くの方に『争わないための遺言書』をご提案し続けていきます。