(閣議決定)「106万円の壁」撤廃で何が変わる?年金改正のポイント
はじめに
2026年1月時点で、全国平均の募集時給は1,230円と過去最大の水準に達しました。
最低賃金の引き上げは一時的な現象ではなく、企業経営にとって避けられない構造的変化となっています。
今回は、最低賃金の大幅引き上げが続く現状とその対策を3部構成でお話しします。
第1部は、最低賃金の現在の動向や2026年度及び中長期的な見通しについて整理します。
最低賃金の現状:過去最大規模の引き上げが継続
近年、最低賃金の引き上げは加速度的に進んでいます。
2023年度には初めて全国加重平均が1,000円の大台を突破し、2025年度(令和7年度)には1,121円まで上昇しました。
【2023年度〜2025年度の最低賃金引き上げ状況】
| 年度 | 全国加重平均額 | 引上げ額 | 引上げ率 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 1,004円 | 43円 | 4.5% |
| 2024年度 | 1,055円 | 51円 | 5.1% |
| 2025年度 | 1,121円 | 66円 | 6.3% |
(出典:厚生労働省「地域別最低賃金 全国一覧」を基に作成)
2025年度の66円(6.3%)という上げ幅は過去最大となりました。
賃上げが続く現状では、企業の「稼ぐ力」が賃金上昇のスピードに追いついているか、が問われることになります。
2026年度の見通し:引き続き高水準の引き上げが予想
注目すべきは、法定の最低賃金以上に「市場価格(募集賃金)」が上昇している点です。
民間調査によれば、2026年1月の全国平均募集時給は1,230円(前年比+5.3%)に達しています。
【平均募集時給の推移】
| 時期 | 平均募集時給 | 前年同月比 | 2025年9月比 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月 | 1,194円 | - | - |
| 2026年1月 | 1,230円 | +5.3% | +3.0% |
(出典:民間求人広告統計データを基に作成)
募集時給が最低賃金を大幅に上回る状況は、企業が法定水準では人材を確保できない現実を示しており、2026年度の最低賃金改定においても、市場の実態を踏まえた引き上げが検討される可能性が高いと考えられます。
中長期的な見通し:政府目標「1,500円」へのシナリオ
政府は最低賃金1,500円の達成時期を「2030年代半ば」から「2020年代中」へ前倒しする方針です(新しい資本主義実現会議)。
この目標達成には、過去を上回るさらなる引き上げが毎年必要になります。
【1,500円達成に必要な年平均引上げ率(2025年度1,121円基準)】
| 達成時期 | 必要な年平均引上げ率 | 年平均引上げ額(概算) |
|---|---|---|
| 2029年度末 | 約7.5% | 約85円 |
| 2031年度末 | 約6.0% | 約68円 |
| 2034年度末 | 約4.5% | 約51円 |
2025年度の引上げ率6.3%は過去最大でした。
しかし、「2020年代中」に1,500円を達成するためには、今後さらに加速して年平均7.5%程度の引き上げを継続する必要があります。
これは2025年度の水準をさらに上回るペースであり、現実的には困難と言わざるを得ません。
一方、2031年頃の達成を目指すのであれば、2025年度と同水準(約6%台)の引き上げを継続することで達成が視野に入ってきます。
まとめ
第1部では最低賃金が中長期的に高水準で推移し、数年後には1,500円が現実となることを確認しました。この変化は、企業の収益構造そのものを見直しせざるを得ない状況になります。
第2部では、この賃金上昇が中小企業の「財務」と「労務」に具体的にどのような打撃を与えるのか、シミュレーションを交えて解説します。



