お子さんは、どんな気持ちで勉強をしていますか?

皆さん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾「啓理学舎」代表の篠田です。
今回は、子育て中のお父さん、お母さんに向けて、
「感情にまかせて怒ること」と「子どものために叱ること」の違い
についてお話ししたいと思います。
目次
1.ある日、近所で見かけた親子の姿
コラムの本題に入る前に、私が最近、近所で見かけた親子のエピソードをご紹介します。
ある平日の午前中、私は買い物をするために近所の道を歩いていました。
すると、子どもの怒っているような声が聞こえてきました。
そのまま歩いていくと、声はだんだん大きくなり、やがて、その様子が見える場所まで来ました。
そこには、小学校低学年くらいの男の子と、お母さんらしき女性が立っていました。
男の子は、私の姿に気づくと、お母さんに向かって、こう言ったのです。
「今、ママが言ったこと、パパに報告するからね!」
その言葉を聞いて、私は驚きました。
一方、お母さんは下を向き、気まずそうに立っていました。
もちろん、その親子の間で何があったのか、私にはわかりません。
ただ、もしかすると、お母さんが感情的になってしまい、その言葉に男の子が反発していたのかもしれません。
「パパに報告する」という言葉が出てきたことからも、親子の間で何らかのやり取りがあったことがうかがえます。
この光景を見て、私は改めて考えました。
親が感情にまかせて子どもを怒ってしまうと、子どももまた、感情的に反発してしまうことがあるのではないでしょうか。
子どものためを思って言った言葉でも、感情が先走ってしまえば、親が本当に伝えたかったことが届かなくなるかもしれません。
それでは、私たち大人は、子どもが悪いことをしたとき、どのように接すればよいのでしょうか。
2.「叱る」と「怒る」は、どう違うのでしょうか?

子どもが約束を守らなかったとき。
何度注意しても、勉強を始めようとしないとき。
ゲームばかりして、やるべきことを後回しにしているとき。
お父さん、お母さんが、つい強い口調になってしまうこともあると思います。
しかし、ここで一度、考えてみてください。
私たちは、子どものために「叱って」いるのでしょうか。
それとも、自分の感情にまかせて「怒って」いるのでしょうか。
日常会話では、どちらも同じような意味で使われることがあります。
しかし、子どもへの接し方を考えるうえでは、この二つを区別してみることが大切です。
「叱る」とは?
「叱る」とは、
相手のよくない行動や間違いを正すために、注意したり、指導したりすること
です。
その目的は、相手の成長や改善を促すことにあります。
例えば、子どもが宿題をやらずにゲームばかりしているとき。
「いつまでゲームをやっているの! いい加減にしなさい!」
と感情的に言うのではなく、
「ゲームをしたい気持ちはわかるよ。でも、宿題を終わらせる約束だったよね。まず宿題を終わらせよう」
と伝える方法があります。
子どもの気持ちを受け止めながら、守るべき約束や行動を具体的に伝えるのです。
もちろん、いつも穏やかに話せるとは限りません。
それでも、何を改善してほしいのかを意識することで、言葉の選び方は変わってきます。
「怒る」とは?
一方、「怒る」とは、
不快な出来事などによって、自分の中に怒りの感情が生じること
です。
子どもが何度言っても言うことを聞かなければ、イライラすることもあるでしょう。
仕事や家事で疲れているときには、普段なら気にならないことでも、つい強く反応してしまうかもしれません。
そして、気づかないうちに、
「何度言ったらわかるの!」
「あなたはいつもそうなんだから!」
「もう知らない!」
などと、子どもの行動だけでなく、子ども自身を否定するような言葉を口にしてしまうことがあります。
こうした言葉は、子どもに何を改善してほしいのかを伝えるよりも、親の怒りをぶつけることが中心になってしまいがちです。
つまり、
子どもへの接し方を考えるときには、相手の成長を願って注意しているのか、それとも自分の怒りをぶつけているのかを振り返ることが大切
なのです。
3.子どもに腹が立ったとき、どうすればよいのでしょうか?
ここまで、「叱る」と「怒る」の違いについてお話ししてきました。
しかし、頭ではわかっていても、実際の子育てでは、なかなか思うようにいかないものです。
子どもが何度も同じことを繰り返せば、親だって腹が立ちます。
「冷静に話そう」と思っていても、気づけば大きな声を出してしまうこともあるでしょう。
私たち大人も、完璧ではありません。
だからこそ、感情的になりそうなときに、いったん立ち止まるための方法を知っておくことが大切です。
ここでは、すぐに実践できる三つの方法をご紹介します。
① 深呼吸を3回する
怒りを感じたら、まずはゆっくりと深呼吸を3回してみましょう。
怒りが強くなると、呼吸が浅くなったり、体に力が入ったりすることがあります。
ゆっくり息を吐くことを意識すると、気持ちを落ち着けるきっかけになります。
大切なのは、怒りを無理に押さえ込むことではありません。
「今、自分は腹を立てているんだな」と気づき、すぐに言葉を返さず、少しだけ間を置くことです。
② その場をいったん離れる
子どもの言動に腹が立ち、冷静に話せそうにないときは、可能であれば、その場をいったん離れてみましょう。
例えば、
「今は少し落ち着いてから話そうね」
と伝え、別の部屋などで気持ちを整えるのです。
怒りが強いまま話し続けると、必要以上に厳しい言葉を口にしてしまうことがあります。
その場を離れることは、子どもから逃げることではありません。
子どもを傷つける言葉を口にする前に、親自身が冷静さを取り戻すための時間をつくることなのです。
ただし、小さな子どもの安全を確保することは忘れないでください。
③ 「今、自分は怒っている」と言葉にする
三つ目は、自分の感情を言葉にしてみることです。
例えば、心の中で、
「今、自分は怒っている」
「思いどおりにならなくて、イライラしている」
とつぶやいてみましょう。
自分の感情を言葉にすると、怒りにそのまま振り回されるのではなく、自分の状態を少し客観的に見つめやすくなります。
そして、もう一つ考えてみてください。
「私は、この子に何を伝えたいのだろう?」
「今、怒りをぶつけることで、本当に問題は解決するのだろうか?」
このように問いかけることで、感情をぶつけるのではなく、子どもの行動を改善するための言葉を選びやすくなります。
すぐに気持ちを切り替えられなくても構いません。
まずは、自分が怒っていることに気づくところから始めてみましょう。
4.子どもを叱るときに、大切にしたいこと
子どもを育てていると、注意しなければならない場面は必ずあります。
悪いことをしたときには、何がいけなかったのかを伝える必要がありますし、家庭で決めた約束を守ることも大切です。
しかし、子どもに何かを教えるときには、伝え方にも気を配りたいものです。
例えば、子どもが勉強をしなかったとき、
「あなたは本当にだらしない子ね!」
と言うのと、
「今日はまだ宿題が終わっていないね。どうしたら時間どおりに始められるか、一緒に考えてみよう」
と言うのとでは、伝わる内容が違います。
前者は、子どもの人格そのものを否定する言葉になりかねません。
一方、後者は、改善してほしい行動に焦点を当てています。
子どもが失敗したときこそ、人格を否定するのではなく、何をどう変えればよいのかを具体的に伝えることが大切です。
また、親が感情的になってしまったときには、落ち着いてから、
「さっきは大きな声で怒ってごめんね。でも、あの約束は守ってほしいと思っているよ」
と伝えることもできます。
親が自分の言動を振り返る姿は、子どもにとっても、自分の気持ちや行動を見つめ直す一つの手本になるでしょう。
子どもを叱ることと、子どもの気持ちを大切にすることは、決して矛盾しません。
大切なのは、
子どもを思いどおりに動かすことではなく、子どもが自分で考え、よりよい行動を選べるように導く
ことです。
5.お父さん、お母さん、感情にまかせて怒っていませんか?
子どもが何かを失敗したとき、約束を守らなかったとき、勉強をしようとしないとき。
親として、つい腹を立ててしまうことはあると思います。
私たち親も人間ですから、いつも冷静でいられるわけではありません。
だからこそ、感情的になってしまった自分を責め続けるのではなく、次に同じような場面が訪れたとき、少しだけ接し方を変えてみてはいかがでしょうか。
・腹が立ったら、深呼吸を3回する。
・冷静に話せないときは、いったんその場を離れる。
・「今、自分は怒っている」と自分の感情を言葉にする。
まずは、この三つから始めてみてください。
そして、子どもに何かを伝えるときには、一度考えてみましょう。
「これは、子どもの成長のために伝えている言葉だろうか。それとも、自分の怒りをぶつけているだけだろうか」
この問いかけが、親子の関係を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
お父さん、お母さん。
感情にまかせて「怒る」のではなく、子どもの成長を願って「叱る」ことを、少しずつ意識してみませんか?
子育てに正解は一つではありません。
うまくいかない日があっても大丈夫です。
子どもの気持ちに寄り添いながら、親子で一緒に成長していきましょう。


