住宅ローン選びは金利だけで決めない|総返済額まで見る考え方

高橋徹夫

高橋徹夫


物価が上がり、住まいの取得そのものに不安を抱えたまま住宅ローンのご相談にみえる方が、ここ数年で明らかに増えていると感じます。金融機関の商品名を比べる前に、まず胸のつかえを下ろしたい。そんな空気を、面談の最初の五分で感じることが少なくありません。

多くの方が本当に知りたいのは、「わが家はいくらまでなら無理がないのか」という一点ではないでしょうか。私も、そこから一緒に整理していくようにしています。

返済負担率から考える、無理のない借入額の目安

借りられる額と、返し続けられる額は別ものです。金融機関が出す上限は、あくまで審査を通る金額であって、その家庭が心地よく暮らせる金額ではありません。

返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。この数字を先に決めてしまうと、逆算で物件価格の上限が定まり、探す範囲がぐっと絞れます。

住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン利用者の返済負担率は「15%超〜20%以内」が26.2%で最も多いという結果が出ています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査」2026年1月調査・2026年2月発表)。二割前後を一つの落としどころにしている方が多い、と読み取れます。

公的な基準としては、【フラット35】が、住宅ローン以外の借入れも合わせた総返済負担率について、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という条件を設けています(出典:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件、2026年4月1日現在)。

自動車ローンやカードの分割払いも算入される点は、意外と知られていません。私がご相談をお受けするときは、この割合を当てはめる前に、教育費や老後の資金まで含めたキャッシュフロー表をつくります。手取りの中から何年後にいくら出ていくのかを並べてみると、「上限まで借りる」という発想には、まずならないからです。

金利だけで選ぶと見えない、総返済額という物差し

「一番金利が低いところを教えてください」。これも本当によくいただくご質問ですが、私は金利だけを並べたご提案はしないようにしています。

同じ調査では、住宅ローンを選んだ理由の一位が「金利の低さ」で62.0%と突出しており、次いで「団体信用生命保険の保障内容」が17.8%、「諸費用の低さ」が12.7%と続きます(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査」2026年1月調査)。金利以外を判断材料に置いている方は、まだ少数派です。

けれども実際の負担は、事務手数料・保証料・団体信用生命保険の保険料まで含めた総額で決まります。事務手数料には定額型と、借入額に応じて割合で決まる定率型があり、借入額が大きいほど差は開きます。保証料も、一括で前払いするか金利に上乗せするかで、総負担の姿が変わってきます。

団体信用生命保険も同じ構図です。がんや就業不能まで保障を広げれば、その分は多くの場合、金利の上乗せという形で毎月の返済にのってきます。

保障を厚くすること自体が悪いわけではありません。ただ、すでに加入されている生命保険と中身が重なっていないかは、必ず一緒に確認するようにしています。ここを見ないまま上乗せすると、同じリスクに二重で払い続けることになりかねません。

そのため当社では、物件価格以外にかかるお金を、最初のご相談の場ですべてお出ししています。明瞭価格とは、登記費用・仲介手数料・ローン保証料・火災保険・引越し費用まで含めた総額を、はじめにお示しする進め方のことです。後から「そんな費用は聞いていなかった」が出てこないようにするための、私なりの決め事です。

金利タイプと返済期間は、家計の事情で答えが変わる

ここは、同じ業界の中でも見解が分かれるところだと思います。

先ほどの調査では、利用された金利タイプは変動型が75.0%を占めました。その一方で、今後一年間に金利が上がると見ている利用者は73.7%にのぼり、前回調査から8.0ポイント増えています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査」2026年1月調査)。

さらに、金利が上昇した場合の見直しルールについて「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」と答えた方の合計は、設問によって42.6%〜55.6%という結果でした(出典:同調査)。

私は、変動型が危険だとも、固定型が正解だとも申し上げません。共働きで繰上返済の余力があり、返済額が増えても吸収できるご家庭と、単独収入で教育費のピークが目前に迫っているご家庭とでは、選ぶべきものが違うからです。

判断が分かれるときに私が最初に確認するのは、金利の見通しではなく、返済額が上がった場面でその家計が何で受け止められるかという点です。手元資金なのか、繰上返済なのか、収入の伸びなのか。受け止め方が見えない状態で変動型を選ぶことは、おすすめしていません。

同調査では、比較した住宅ローンの数が「1つだけ」だった方が65.6%という数字も出ていますので、勧められたものをそのまま契約する形が、まだ主流なのだろうと感じます。その人その人で、買うべき住まいも、ローンの組み方も、必要な保障も違う。だからこそ、当社では月にお受けする件数をあえて絞り、一件ずつ時間をかけています。

早めにご相談いただきたいのは、こんな場面です

「もう少し早く聞いていれば」。行政での相談対応に関わってきた経験からも、そう感じる場面は少なくありませんでした。情報が届く時期が半年ずれるだけで、取れる選択肢の数が変わってしまうのです。

住宅ローンは、金利タイプ・返済期間・返済方法・保障の付け方を、どれか一つずつではなく、まとめて考えるものです。順番を取り違えると、物件を決めてから慌てて条件を合わせにいくことになります。

物件を数多くご案内すればよいというものでもありません。選択肢が増えるほど迷われる方が多く、本当に良い物件を逃してほしくないからこそ、ヒアリングで条件を整理し、絞ってご提案することを心がけています。初回のご相談で方向性が定まる方も少なくありません。

以前ご相談にみえた方からは、「購入後も確定申告の際には必要書類の案内など、細かなフォローをしていただき、何かあれば相談できるという安心感があります」というお声をいただきました。手続きが終わってからのほうが、ご連絡は増えるくらいです。

当社では、引き渡しを終わりにしていませんので、金利が動いたときの借り換えのご相談、保険の見直し、将来の売却やお住み替え、資産形成のご相談まで、その後もお受けしています。住まいは人生に長く関わるものですから、そのほうが自然だと考えています。

住宅ローンの借入可能額と返済負担の考え方については、別のコラムでも整理しています。あわせてご覧ください。https://mbp-japan.com/kanagawa/onefinitas/column/5222769/

住宅ローンの選び方に、すべての方に当てはまる正解はありません。あるのは、そのご家庭の収入と支出、これから起きるライフイベントに照らして、無理のない一本を選び抜く作業だけです。

まとめ

住宅ローンは、金利の高い低いではなく、そのご家庭が返し続けられるかどうかで選ぶものだと私は考えています。数字を先に整理しておけば、物件選びの迷いはずいぶん軽くなります。

・住宅ローンの選び方がわからず、何から比べればよいか迷っている方
・借入額が家計に対して無理のない範囲か、確かめておきたい方
・変動型と固定型のどちらを選ぶべきか、判断がつかない方


まだ何も決まっていない段階でかまいません。まずはお気軽にご相談ください。
https://onefinitas-estate.jp/contact/

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高橋徹夫
専門家

高橋徹夫(不動産業)

ワンフィニタス株式会社 -ONE FINITAS-

ヒアリングを通じて顧客の意図を整理し、要望に合う不動産を厳選して提案。初回相談で方向性が定まるケースも多く、その後も人生設計や資産運用を見据え、住まいとお金の課題に継続的に向き合います。

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