親子リレーローンの利点と注意点|連帯債務と子の将来への影響

高橋徹夫

高橋徹夫


住宅ローンのご相談の場で、親子リレーローンについてご質問いただくことがあります。この質問は、たいてい少し困ったような表情とセットで出てきます。ご自身の年齢のこと、退職の時期のこと、そして子どもに負担をかけてよいのかということ。聞きたいのは制度の細かい説明ではなく、「うちの場合は使ってよいのか」という一点なのだろうと感じています。

近年は物価の上昇もあり、住まいの取得そのものに不安を抱えたままご相談にみえる方が増えています。だからこそこの質問には、利点と注意点をいつもセットでお答えしています。

なお親子リレーローンとは、親と子が同じ住宅ローン契約のもとで、親が先に返済を始め、一定の時期から子が返済を引き継ぐ仕組みのことです。住宅金融支援機構の「フラット35」では「親子リレー返済」と呼ばれています。

利用できる親子関係は、機構の資料などでは、申込者本人とその子や孫など直系血族であることが基本とされています。仕組みの全体像は当社サイトでも整理していますので、詳しくはこちらをご覧ください(https://onefinitas-estate.jp/blog/entry-821248/)。

返済期間を延ばせることが最大の利点です

誤解されやすいところなのですが、親子リレーの一番の効果は「たくさん借りられること」ではなく、「返済期間を長めに設計しやすくなること」だと私は考えています。

親子リレーローンを利用すると、返済期間を親子それぞれの年齢を踏まえて長めに設定しやすくなります。フラット35でも、親の年齢が高い場合に子を後継者として設定することで、長期の返済期間を確保しやすくなる仕組みになっています。

返済期間を長く取れると、同じ借入金額でも毎月の返済額を抑えやすくなります。月々の負担をならせることで、家計の見通しが立てやすくなる。ご相談の現場でいちばん効いてくるのはこの部分です。

一般に、返済期間が延びるほど利息の負担は増えていきます。その一方で、家計の収支にはゆとりを持たせやすくなり、教育費や老後資金など他の支出とのバランスを取りやすくなります。

総額を抑えることと、月々をならすこと。どちらを優先したいのかを先に決めておくと、その後の判断がぶれにくくなります。単独では借入可能額や返済期間に制約が出やすい世代が、親子で協力して無理のない返済計画を組むための方法だと受け取っていただくのが、いちばん実態に近いと思います。

借入額を伸ばす方向に使うときは慎重に

もうひとつ、よく挙げられる利点があります。親の年齢が高い場合でも、子の完済時年齢を基準として借入期間を組める場合があるため、単独では届かなかった水準の住まいを検討できる可能性が生まれる、という点です。

ただ、私はこの方向に使うときほど慎重に考えます。借入可能額が伸びることと、無理なく返していけることは、まったく別の話だからです。

私が最初に確認するのは、物件価格そのものよりも「総額」のほうです。登記費用、仲介手数料、ローン保証料、火災保険、引越し費用など、こうした諸費用まで含めた金額を最初のご相談の場ですべてお伝えし、そのうえで返済比率を見ます。この順番を逆にすると、あとにしわ寄せがきます。

後になって「聞いていない費用が出てきた」という後悔は、情報を出し惜しみするところから生まれます。私が不動産の仕事を始めたきっかけも、大切な友人が欠陥住宅をつかまされ、心身ともに傷ついている姿を目の当たりにしたことでした。もっと正直に、もっと丁寧に説明されていれば防げたはずだ、という思いは今も変わりません。

マニュアル通りの提案では、実は失敗している(その時は気が付かない)方が少なくありません。その人その人で、買うべきものも、ローンの組み方も、必要な保障も違います。親子リレーが向いているかどうかも、同じように家族ごとに変わると考えています。

見落とされがちな「連帯債務」という重み

デメリットの側で私が最初にお伝えするのは、名義の考え方です。親子リレーローンでは、親子が連帯債務者となり双方が債務を負うことが一般的で、単独名義の通常のローンと比べて責任の範囲が広がります。

ここで効いてくるのが、子の将来です。子がのちに自分名義で別の住まいを検討したとき、すでに親子リレーの債務を負っていることで、新たな借入可能額が抑えられる場合があります。
返済は長期にわたりますから、転職、結婚、出産といったライフイベントとも重なりやすくなります。若いうちに大きな債務責任を負うということの意味は、契約の前に一度言葉にして、親子で共有しておいたほうがよいと考えています。

家族の事情の変化も避けて通れません。親が病気や介護状態になれば収入が減り、子の返済負担が想定以上に増えることがあります。同居を前提にしていた暮らし方が変われば、誰がどう住み続け、返済をどう分担するのかという問題が表に出てきます。

完済前の売却にも制約が生まれます。住宅の売却価格よりローン残債が多い場合は、差額を自己資金で補う必要があります。将来の相続まで視野に入れるなら、残債と不動産の評価額、税金の負担を合わせて確認しておくことが大切です。

当社が月にお受けする件数をあえて絞っているのは、こうした話を省かずにお伝えする時間を確保するためでもあります。流れ作業のような対応では、この部分がいちばん先に削られてしまいます。

団体信用生命保険の中身は先に確かめます

親子リレーローンで私が契約前に時間をかけて確認する項目のひとつが、団体信用生命保険です。親のみが加入する場合、親子の両方が加入する場合など、取り扱いが金融機関ごとに異なるためです。

見るべきは、万一のときにどこまで住宅ローン残高が保険で返済され、子にどれだけ負担が残るのか、という一点だと考えています。がんや三大疾病などの特約を付けるかどうかも、保険料の負担と保障の範囲を並べたうえで判断します。

言いにくいことを先にお伝えするのも私の大事な仕事です。重要事項説明の準備を進めるなかで、他社では問題ないと説明されていた物件に隣地との境界未確定というリスクがあることに気づき、境界確定が完了してから契約することをおすすめしたことがあります。

すぐ申し込みたいとおっしゃっていた新築戸建てについて、念のため周辺環境を調査したところ、過去に浸水履歴がありハザードマップでも注意区域に該当していることが分かり、今回は見送る判断をご提案したこともありました。後日、別のエリアで安心して住める住まいをご購入いただいています。

親子リレーは、契約したあとの時間がとても長いローンの仕組みです。だからこそ、決める前にいったん止まる勇気のほうが大切になる場面があると、私はそう思っています。

相談前に親子で整理しておきたい3つのこと

ご相談の前に手をつけていただけると話が早く進むのは、次の3つです。

・親子それぞれの収入と今後の働き方、退職の時期や年金の受給開始、教育費など大きな支出の時期を、時系列で書き出しておくこと

・団体信用生命保険について、誰が加入し、どこまで保障されるのかを確認しておくこと

・将来の同居や住み替えの可能性、持ち分の考え方、返済が難しくなったときの対応方針を、あいまいにせず親子で共有しておくこと

そのうえで、単独名義の住宅ローン、収入合算、ペアローンといった他の選択肢とも並べて比較します。返済期間、金利、完済時の年齢を横に並べると、親子リレーが自分たちにとって最適なのかどうかが見えてきます。

物件探しは一般に3か月から半年、長い場合は1年以上かかることもあります。ただ、最初のヒアリングで本当に求めている条件を整理できると、比較的早い段階で方向性が定まるケースも少なくありません。資金計画も同じで、前提を先に揃えておくほど、その後の判断は速くなります。

親子リレーローンは、親と子が協力してマイホームの夢をかなえるための有力な選択肢のひとつですが、向き不向きは家族ごとに異なり、結論は個別の事情によって変わります。ワンフィニタス株式会社では、横浜市旭区を拠点に神奈川全域で、住宅ローンの資金計画から物件選び、引き渡し後の見直しまで、私、高橋徹夫が直接担当しています。

「うちの場合はどうなるのか」を一度並べて確認するところから始めませんか。まずはお気軽にご相談ください(https://onefinitas-estate.jp/contact/)。

まとめ

親子リレーローンは、借入額を伸ばすための道具ではなく、家族の時間軸に返済を合わせるための道具だと私は考えています。仕組みを正しく知り、親子で早めに話し合っておけば、選べる道はきちんと広がります。

・親の年齢を理由に、住宅ローンの返済期間が短くなりそうだと感じている方
・親子リレーローンを勧められたものの、判断材料が足りないと感じている方
・二世帯住宅や実家の建て替えを、資金計画の段階から検討したい方


お問い合わせはこちらからお願いいたします(https://onefinitas-estate.jp/contact/

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高橋徹夫
専門家

高橋徹夫(不動産業)

ワンフィニタス株式会社 -ONE FINITAS-

ヒアリングを通じて顧客の意図を整理し、要望に合う不動産を厳選して提案。初回相談で方向性が定まるケースも多く、その後も人生設計や資産運用を見据え、住まいとお金の課題に継続的に向き合います。

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