「やる気がないならやめなさい!」という前に
全国の音楽教室の先生のお悩みをサポートしていて、とても多いのが、あの生徒さんの様子に少し気になることがあり、自身の対応の引き出しが無いために、生徒さんにきちんと対応できていないのではという事です。
子供たちと教室でレッスンを始めることは、教育者としての大きな責任を伴います。それは、今後の音楽に対して、どのようなイメージを持つのか、秘めた力を引き出せるのか。その責任の多くを担うからです。
特別センシティブだったり、特別なニーズを持つ生徒たちと関わる際には、理解と対応の適切さが重要です。
まずはご家庭と協力体制を作り、そのお子さんにどの様にしたら、興味を持ってもらえるか、理解してもらえるか、考えて行きましょう。
その為に、このコラムがお役に立てば幸いです。
苦手な事は個々の生徒によって異なる
教室での指導方法や進度、サポートの必要性は生徒ごとに細かく異なるため、個別のアプローチが必要です。
・音を読む力、音符の意味はよくわかっているのに、楽器に向かうと楽譜に目をやらない。
・読む気にならないのはなぜなのか。
・自分のしたい事をする時はやる気満々。しかし、基礎練習になるとたんに「疲れた」と言って嫌がる。
・新しい曲の学習を非常に嫌がるけれど、それをなだめて練習した結果、出来る様になると意気揚々と弾く。
この様な沢山の「なぜ?」がありますね。けして先生お一人が悩んでいるのではありません。ご安心くださいね。
出来る事と出来ない事が1人のお子さんの中で隣り合って存在している
例えば計算や、言葉の理解、そして楽譜を読むための約束事の理解が全般苦手だとしたら、学習をゆっくり進める必要があるな、と思いますね。
しかし、1つづつ問題を提示するとしっかり理解できている。演奏しながら読み進めようとすると、わからなくなってしまう。そしてその合間に質問すると非常に基礎的な事でさえも答えられないありさま‥
どうしても、「一生懸命やっていますか?」と声をかけてしまいそうになります。
子ども自身も、どうして一生懸命にできないのか。実はとても苦しんでいるのです。出来ていた自分を知っているからこその辛さだと思います。プチパニック状態に陥っているのですね。
どうせ自分は出来ないからと、投げやりな態度を取ったり、答えを求めるとふざけてしまう困った態度も、実はこの様な事が影に隠れていたりすると、知っておいて下さい。
苦手な事を指導者側が感じとり支援するスタイル
このお子さんが何に苦手感を持っているのか。子どもが自分の言葉で相手に伝えるのはかなり難しい事です。ですから、まずは指導者側がその様子から感じ取って、可能な調整してあげる事で、お子様の出来る事が増えます。
たとえば、新しい環境に苦手感を持つ子には、初めの1ヶ月程度、若干レッスン時間を短くして疲れる前に帰したり、難易度の低い事のみを繰り返して自信をつけてもらいます。
心配しなくても大丈夫です。環境に慣れ自信が付くと、しっかり、他のお子様と同じようにレッスンを受ける事が出来ます。そして、それまで苦手だったことにも挑戦できる余裕が生まれるという事も先生方にお伝えしたい事です。
逆に、先を急ぎこの一手間を抜かすと、レッスンに対する印象が悪くなり取り返しがつかない事になります。
年齢や男女の差で一括りにせず、個別に対応を微調整すると、意欲的に学ぶ子になります。
皆様の音楽教室でのお稽古スタイルは個別対応ですので、この様なお子様にとてもあっていると思います。
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