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三上緑

独自のメソッドでピアノ講師を支える音楽教育家

三上緑(みかみみどり) / 音楽教育家

一般社団法人カラフルエデュ協会

コラム

【指導者必見】ピアノ教室を辞めたい‥興味関心が離れるとき

2022年12月10日

テーマ:個性に合わせた指導で弾ける子に育てる

コラムカテゴリ:スクール・習い事

こんな気持ちのザワザワありますか?レッスンを始めて4ヶ月のお子さん。最近ワクワクした表情を見ることが減ったかも。
 ・この教室に通うことに慣れてきた。
 ・教室で学ぶ内容に慣れてきた。

しかし、「いつもの事」を繰り返すその表情がちょっと気になる。入会から1年以内でお辞めになった生徒さんが1人でもいらっしゃる先生!ぜひ、レッスンの内容を考えてみましょう。



1つ1つ丁寧に進めるという事



楽器の指導の導入期は、小さなお子さんにとっては新しい経験ばかりですね。
 知識を理解すること。
 使いこなす力をつけること。
 楽器を扱うこと。
 感じる心を育てたいし、良い耳も磨きたい‥


この様に盛りだくさんな内容を、30分〜40分の間に提案したいと考えています。中学生や高校生の生徒さんのレッスンの難しさとはまた違う難しさがありますよね。



私の主宰する緑ピアノ教室は、生徒さんの入れ替わりが少ないので、しばらく3歳さんのレッスンをしていないという状況でした。先日久しぶりの新入会の生徒さんとのレッスンでは、新鮮で、様々なことにアンテナを立てるあの感覚を思い出しました。





よく考えてみると「この学びは、なんのためにしているのか」という事を、中高生は理解しています。
基礎練習はテクニック向上のため。好きな曲ばかりではないけれど、学習した方が新しい解釈や、見識を広げられるから自分のためになる。だから先生の指導を仰ぎチャレンジしてみようと考えられる訳です。



しかし、3歳のレッスンを始めて間もないお子さんはどうでしょう。
 <ど、れ、み>3つの違いがやっとわかってきたぞ。
 あらら?また違うものが出てきたぞ。
 なぜ先生は、「正解です!」と言ってくれないの?
 うーん、よくわからない‥もう、これ辞めたい。太鼓叩きたいな‥



このような心の声は安易に想像つきますね。
わかるまで何回も繰り返して、ゆっくり理解すれば大丈夫よ。と指導者は思うのですが、目の前のお子さんの気持ちは、「何回もやり直しはイヤ」ですから言えばいうほど指導者の声を聞かなくなってくるのです。



きっと先生はなさっているのではないですか?今日のレッスンの中でこの様な事に気づき、内容を変更したり途中で取りやめたり。
しかし、先週の事と今週の事。そして今週と来週もという繰り返しでもこのことが起きている事に気づかなくては危険です。
今日もまた、ママと練習。先週の繰り返し。ページは変わっても同じような課題はまだまだ続く。またよくわからないあの事を、先生と今日もやるのかぁ‥



こうして、なんとなく目の輝きが減ってくるのです。



特にAちゃんはゆっくり進みたいタイプかも




すぐにYouTuberのように弾けると思ってピアノ教室にきたAちゃんでしたが、手先が少し不器用で、考えながら指を動かすと思っていない指まで動いてしまうことがある様です。レッスンが始まってなかなか丸が上げられないAちゃん。
「この音なあに?」と先生。
「たーくさん見るものがある‥なんだか面倒臭い」
「いっぱい弾きたいのに」「先生の話を聞いてって、怒られちゃった‥」
「いっぱい間違えちゃうし!」「あーもう、やだ!」


夢を持って入会した生徒さんの4ヶ月目頃によく起きてくることなのです。


指導をするという事は、きちんと正しい事ができる様になるお手伝いをしたいと考えるのですが、Aちゃんの心は、どんどん離れていくでしょう。悲しいことに先生がAちゃんを追えば追うほど、逃げていくのです。



思っていたのと違うかも‥




こう感じた時、辞めたくなるのです。
では、レッスンの方法を変えましょうね! 頑張ったらご褒美あげましょう!
このように方向転換を試みても、心が戻ってくるのはかなり低い確率になるのです。



勘がよく、ぽんぽん答えられて、指導者の弾き方を見よう見まねで真似できてしまう様なタイプのお子さんは、この導入期にどんどん上達していくでしょう。


では、Aちゃんのようなお子さんは、残念だけどピアノレッスンには向かないのでしょうか。



答えは、ノーです。
導入期の苦労がとても大きかったお子さんが、5年生、6年生になった時かっこよく合唱伴奏のオーディションを勝ち取ってきたなどという事は、数多くありました。
急に周囲も驚く演奏をして、「どこのピアノ教室に行ってるの?」と聞かれた、などということもよくあります。

ですから、Aちゃんの様なタイプのお子さんを引き上げる技術を、先生にはぜひ知ってほしいと思います。








「あ!できた」という経験を10分に1回作りましょう



ポイントは、「できないかも」「たくさんあって面倒臭い」と思わせない提案の仕方が鍵になります。
1度でも、こう感じさせたら聞きたくなくなるので、注意が必要です。
そして、1回のレッスンの中で10分に1回は、「正解!」「できた!」と感じさせる進め方にしましょう。



実践しようとしてみると、きっと感じると思います。
「10分て結構あっという間」
この長さのアプローチの中で、達成感を感じさせるのは結構難しいと思われるでしょう。


ですから、スモールステップが大切なのですね。



この進み方では、Aちゃんの夢「YouTuberみたいに弾きたい」にはいつになったらたどり着くのか?
ご心配になりますね。
大丈夫です!できる事の詰み重ねは、加速度的に力が伸びます。毎回良い気分でレッスンが終わるので、「弾けなかった」などという感想も持ちません。



ぜひ、スモールステップで確実に進め、夢を叶えてあげてください。






実際のレッスン生のエピソード

ピアノはかっこ良く弾きたい、でも思うように手が動かないんだ!




ピアノを弾く人に興味が強くある子なので、「弾く=当然両手で素晴らしく弾くこと」この思い込みがとても強いお子さんでした。しかし、5本の指をじっと見つめて動かさなければ、1本ずつ動かすことが上手くできない様子。
そのギャップに苦しんでいる様でした。
もちろん、就学前のお子さんですから、当然なのですがそのお子さんは、思うようにいかないことに苛立ちすら感じている様でした。


この解決は、とにかくピアノに触る時間をたくさん保つことが一番です。しかし、なかなか気が重いようすでした。


そんな時、アニメのある曲に興味があると聞き、その雰囲気だけでも楽しんでみよう!と誘いました。
「ほんと?僕が弾けるの?」それが初めの一言でした。


その曲の中で、ほんの1コーラス、どこが一番お気に入りなのかを聞き、その部分の練習から始めました。そこから、その子の本気度が変わり3ヶ月後にはあんなに苦労していなことが嘘のようになりました。


今は、学校のキーボードで暇を見つけてはレパートリーを弾き、もっぱらとてもピアノが上手な子と噂になっている様です。本当に弾けているのかという視点で見れば、まだまだですが、この状態になった子はピアノがかけがえのないものでしょう。そしてきっと彼の人生に彩りを添えるものになるはずです。
ここから、きっとまたステップアップしたくなる時が来る。その日がとても楽しみです。


 


こちらから解説動画をご覧いただけます
【教本を超えた指導法で輝く目をした生徒を育てる方法】
小さなお子さんの指導は、動機付けの工夫が全てと言えるかもしれません。
どのような言葉を使うのか。すぐ実践できることからお伝えしています。

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