プロセスワーク「世界との関係性」を再考する姿勢
まずはじめに、共依存とは診断基準ではありません。米国において援助の現場から発生した概念です。でも、自身の人間関係のありかたを知るのに有効な自覚です。
幼少期児童期における養育環境が外傷となるほどの状態であったり、親や養育者らが各々の自尊心の問題に無自覚あるいは不安定な状態な場合などに、子どもは対象関係において、健全な自己愛を育めず、かつ、それ以上の傷つきから心身を守るための防衛機制・共依存パターンを設定せざるを得ない状況におかれることがあります。
こうした子ども時代に設定された基底共依存は、おとなになっても作動してしまうときに人間関係の支障や関係性依存、恋愛依存、回避依存、アルコール依存、インターネット、スマホ依存などの「表現型」として表れるのでしょう。
「他者の願望・期待を読み取り、それに合致するように生きようと常に努力し続けること」外界や他者の要請を読み取る尽きない努力。ほんらい人間とはそのようなものですが、自分の身を犠牲にしてまでやってしまうとや、恋人や配偶者、息子や娘に有害な作用をおよぼすときに共依存に(症)の字をつけます。
<参考文献>斎藤学,共依存と自己愛パーソナリティ障害,アディクションと家族,vol.35 No,2. 2020.
彼や彼女のことばかり考えてしまい自分の世話を後回しにしてしまう。
学校や会社に適応しようとがんばってきたけれど、自分が何者かわからない!
息子が独り立ちをしたと思ったら、何もすることがなくて落ち込んでしまう。などなど。
彼ら彼女らの苦難の特徴は、自分が誰なのかわからない、自分が何を望んでいるのかわからない等の自己存在の脆弱性に関する漠然とした不安や恐れに苛まれている状態。
また、「愛してくれないなら離れる」はんたいに、「他者の愛や関心を感じると恐ろしい」等に関連した自己感覚の支障が、親密な他者との関係性に著しく影響を与えている状態などです。
医療機関でのお薬の投与は、関連した不眠やうつ症状に有効ですが、同時に、高度な心理療法、カウンセリングは実存的な人生のQOLに有効に働くでしょう。
1,傷ついている自己愛の成熟を助ける精神力動的心理療法を基盤に
2,集団心理療法(家族療法、ゲシュタルト療法、プロセスワーク等)
3,対人関係スキルトレーニング
の3つの柱が有効でしょう。共依存を治す、解消するよりも、より自己の特徴を成熟させていくような変化を目指す試みがポイントです。