「引きこもり」というコミュニケーション 1
日本には、家族内の問題は家族で納める、他人、他者には家族のことで迷惑をかけてはいけないという習慣があるようです。国民がひとつの目標に、例えば、戦後復興などにむかっていた時代はとてもよく機能した習慣であったことは間違いないのですが、。
価値観が多様化していく流れのなかで、家族内の問題でも、家族内で包摂することが難しいケースが増えてきました。
そうした中で、
例えば、思春期の人格形成期において、激しくほとばしるエネルギーを親がコントロールすることは難しい時代になりました。
彼ら彼女らは、「過干渉」に関して、激しく抵抗したり、外にエネルギーを発散させたりします。はんたいに、「無関心」に関しては、個体の危険を感じて内に籠もるようになるかもしれません。
例えば、夫婦間で情緒の交流機会がすくなく、家の中に緊張が増している、
父親が仕事で忙しく、母親との情緒交流がないなどのケースでは、
息子、娘は、それを補うように、自分が「問題」になることで外部からの支援を得る機会を無意識に創っていると言えます。
このケースでの彼ら彼女らのメッセージは、
「この家には問題がある、母親を助けなくてはいけない、外部からの助けが必要なんだ!」
です。
家族療法のアプローチでは、彼らのメッセージを聞き取り、「問題」の解決に急がず、家族内、あるいは家族システム、家族コミュニケーションにどのようなことが起こっているのかを探ります。