子育てとは、脳を育てること3
私の研究における、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」は、すべて脳科学を基にする取り組みと活動です。また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。
「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくる
この馴染みのない表題に、皆様方からいささか怪訝そうな顔色が垣間見えてきます。
この表題のシリーズでコラム掲載を短編的に掲載します。
また、「子育てとは、脳を育てること」における、脳を育てることの手段や方策などに関わります。
最新の脳科学における「運動と脳」の新常識を次に述べます。
「運動は記憶をつかさどる」「脳の海馬に影響をおよぼす」2
<運動と記憶>
運動は記憶力や注意、判断力などの脳の機能に効果があるといわれますが、その理由として運動が記憶を司る脳の海馬に変化をもたらすことが明らかになってきました。
海馬は、脳に入ってきた情報を記憶として残すのに適したかたちに書き換えるという、記憶で重要な役割を担っています。海馬は大脳辺縁系の一部で海馬に入った情報は、歯状回を起点とする記憶回路を通り(歯状回からCA3からCA1)、再び大脳皮質へ出力されます。この神経回路が動くと、情報が記憶として脳に保持するといわれます。
また、成人の脳では新たな神経細胞(ニューロン)が生まれないと長年考えられてきましたが、1990年代に海馬歯状回で神経細胞が生まれることや歯状回で新たに生まれた神経細胞(ニューロン)が記憶に関わることなどが明らかになりました。
さらに、動物実験では、運動すると歯状回で神経細胞(ニューロン)の新生を増強されることがわかり、運動と脳のかかわりについて盛んに研究されるようになりました。
次回に続きます。