その子の内側の体験の世界21
「その子の内側の体験の世界」第19回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」18
○関係がみえない(ピアジェ)
ピアジェの発達論は、能動的に力点を置くあまりにあたかも子どもが全て独力で発達の道を歩んでいくかのようなものです。
関係の発達が認識の発達をうながし支えているという視点に欠けていたのです。
もちろん、ピアジェも発達をものとして「成熟」や「経験」に加えて「社会的伝達」を示していますが、関係の探求は浅かったのです。
客観的な観察と実験から発達をとらえるピアジェの手法は、子どもが大人との密接な交流を通して認識を獲得していく過程をとらえるには少し難があったのです。
一人ひとりがそれぞれ個別的に能動的につくり上げるシェマが、つまり個々人の主観的な体験世界がなぜお互いに通じ合い、共有可能なものになっていくかという問題に、難しく言えば「間主観性」という問題は、ピアジェの発達論からはうまく説明できないのです。
次回に続きます。