マザリングから育まれるもの
「その子の内側の体験の世界」第14回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」13
○同化と調節(ピアジェ)
「外部環境を取り入れ、それに合わせて自分が変わる」
精神発達とは、こころの仕組みや働きが何かに向かって変化していく現象です。
何がその現象をうながす力が働いているのです。どんな力が知性の発達を推し進ませている原動力なのでしょうか。
ピアジェは動物学者でもあったので、生物は環境をみずからのうちに取り入れて生きていることを観察していました。
例えば、生物は環境から栄養を取り入れ、それによって自分自身の身体を育み、生存活動を維持しています。これを「同化」といいます。
ただ取り込むのではなく、その環境からよりうまく取り込みができ、より安定した生存が可能な方向へと、環境に合わせて自身の身体や活動の在り方を変えているのです。これを「調節」といいます。
樹木は環境から水や光や二酸化炭素を取り入れて成長します(同化)が、そのときに光を受けやすい方向に枝を伸ばし、水を得やすい方向に根を伸ばして(調節)いきます。
仔ライオンはシマウマの肉を食べて育ちます(同化)が、成長とともにサバンナでシマウマを追いかけるのに有利な身体構造と運動能力を整えていきます(調節)。
次回に続きます。