一語文の段階(言語獲得のプロセス)
その子の内側の体験の世界」第9回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」8
○認識と認知の区別
台所のテーブルの上に、チーズとコーヒーカップがあります。私たち人間は、その感覚的な差異ははっきりととらえ分けている。
ネズミは人間同様、チーズとコーヒーカップをちゃんと感覚し分けている。なぜなら、一方は食べようとし、他方は見向きもしないことは観察的にわかります。
このように、感覚器を通して知覚的にものごとをとらえ分けるという知り方を「認知」と呼びます。人間もネズミもテーブルの上のモノを「認知」しています。
しかしそれに加え、人間はネズミとは違って両者を知覚的にとらえ分けるだけでなく、黄色い塊は「チーズ」という食品、隣の白い円筒状のものは「コーヒーカップ」という食器だととらえ分けています。
このように意味を通して概念的にものごとをとらえ分けるという知り方を「認識」と呼んで、はっきりと区別することがたいせつです。
この両者を明確に区別しながら考察していかないと、人間のこころのはたらきへの理解を誤ったり、混乱を招く恐れが大きいのです。
次回に続きます。