睡眠中に長期記憶は形成される
前回のコラム「小脳」に続き、「心地よい、楽しい運動」は、脳の可塑性を促進させます。
今回は、生命活動の中枢「脳幹」を紹介します。
<無意識の活動を担う>
脳幹は、大脳から脊髄へつながる柱のような組織です。間脳や中脳、橋、延髄などで構成されます。大脳が意識的な活動を担うのに対し、脳幹は無意識な活動を担います。無意識な活動とは、呼吸や睡眠、体温の調節、代謝など、生命を維持する重要な機能です。
脳幹を構成するものの中で、間脳は右脳と左脳の中間にあり、視床と視床下部からなります。視床は、嗅覚以外のすべての感覚情報を脊髄や脳幹から大脳に伝えます。視床下部は、自律神経系と内分泌系の制御を行います。
中脳は、中脳蓋と被蓋からなり、視覚や聴覚の中継点として、眼球運動や瞳孔の動きなどを担います。橋は、顔面の動きや咀嚼、呼吸の調節などに関わっています。
延髄は、脳幹の一番下に位置し、心臓の動きや血圧を調節する心臓中枢や呼吸中枢があります。
<12対の脳神経が出ている>
脳に出入りしている神経を脳神経といい、左右合わせて12対あります。これらの神経のうち、嗅神経と視神経以外の10対は脳幹から出ており、さまざまな感覚や運動を支配しています。中脳からは2対の脳神経が出ています。動眼神経は、目を動かす筋肉と瞳孔の収縮などを行います。滑車神経は、目を外側に動かす上斜筋の動きを司ります。
橋からは4対の脳神経が出ています。三叉神経は、顔面の皮膚感覚、口の中の感覚などを司ります。外転神経は、眼球を外側に向かって水平に動かす機能を司ります。顔面神経は顔の表情をつくる筋肉の動きなどを、内耳神経は聴覚と平衡の感覚などを司ります。
延髄からは4体の脳神経が出ています。舌咽神経は舌から耳にかけての感覚を担い、迷走神経は内臓の感覚にかかわります。副神経は首や肩の筋肉の運動にかかわり、舌下神経は舌の運動を司ります。
次回に続きます。