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脳に良い運動とは

吉田洋一

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テーマ:運動と脳

 前のコラム「脳に良い運動」から「幸福感」までの詳細について、数回に分けて解説します。

 「脳に良い運動とは」何でしょうか。
 結論からいいますと答えは「身体を活発に動かすこと」です。
 身体を活発に動かすとは、自ら考え自らの選択による運動です。
 つまり、「大好きで、楽しく、心地よい」運動なのです。
 ここで注意してほしいのですが、勝ち負けだけの競技スポーツや第三者からの教えのとおりや指示や強制などは「身体を活発に動かすこと」にはなりません。後で詳しく説明します。
 「身体を活発に動かすこと」の運動強度は、50から75パーセントで、有酸素運動を行うことが効果的です。運動強度とは、運動の負荷を数値(%)で表したもので、最大心拍数を基準として計算される「目標心拍数」を目安にし、週に2から3回の頻度で1回30分程度の運動をするものです。
 研究の成果を述べます。
 60歳の被験者たちを2つのグループに分けました。一つは週に数回の頻度でウォーキングを1年間続けるグループと、もう一つは、同じ頻度で心拍数が増えない程度の軽い運動を続けるグループに分けました。実験に先立ち、ウォーキングのグループと軽い運動のグループはどちらもMRIによる脳の検査を受け、1年後にもう一度チェックを受けました。
 脳の働き方を調べるため、被験者は各種の心理テストを受けながらMRIによって脳を観察しました。その画像によって、脳の領域が個別に活動することや、側頭葉が後頭葉や前頭葉と複雑に連携しながら(脳内でいろいろ連携しながら)活動していることが明らかになりました。
 結果ですが、ウォーキングを1年間続けた被験者たちは、健康になったばかりでなく、脳の働きも改善していました。MRIの画像は、脳葉の連携、特に側頭葉と前頭葉、また側頭葉と後頭葉の連携が強化されていました。
 簡単に言えば、脳の各領域が互いにより協調しながら働いていたことを意味します。脳全体の働きが1年前より向上していました。身体を活発に動かしたこと、つまりウォーキングが何らかの作用によって脳内のパターンに良い影響を与えていたのです。
 次回に続きます。
 
 

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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