「知恵づき」の時期
養育者と乳児の親密な情動の交流から、お互いに共有される状態が生まれます。
それは、人との間での安心や情動の共有が確かなものとなるのにあわせて、それを支えとして、事物に対する探索活動もさらに活発になっていきます。
運動能力も伸びて、注視だけではなく、手を伸ばして取ろうとしたり、触ったり、口にもっていったり、握ったり、引っ張ったり、もてる感覚能力と運動能力を総動員して乳児は世界の探索を重ねます。
ピアジェは、乳児の活発な探索活動によって、乳児は周りの様々な事物は、それぞれ一定の形や性状を備えた実体であることを知っていきます。外界は様々な性状の実体の集まりからなり、実体とは目の前から見えなくなっても、無くなってしまうわけではないことも知っていきます。もちろん、まだ言語以前で、認識的に理解しているわけではありませんが、そのような認知的なシェマが形成されていきます。
この探索活動は、ピアジェが強調したように乳児の自発的・能動的な行動です。けれども、実はその背後で養育者をはじめ、周りの大人たちが極めて大きな役割を果たしているのです。
次回に続きます。