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勝つってなに?

吉田洋一

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テーマ:運動による心身の発達

 「勝つ」ってなんでしょうか。
 大半は、対戦相手に勝つことだと思っています。
 また、競技スポーツの指導者は「相手に勝つこと」だけに指導します。
 なので、子どもたちの競技スポーツのトーナメントの組み合わせを見ますと歪んだものが大方です。
 子ども期の「勝つ」を皆さんだけに教えます。
 その答えは、「今の自分に勝つ」ことです。
 この時の「勝つ」の具体的な例は、
 テニスであれば、相手のコートにワンバウンドしてツーバンドするボールを打つことです。
 つまり、「自分がボールを正確に打てる技術を身につけること」です。
 これを「自分の伸びしろの値を高くする」と言います。
 これが、「勝つ」という正体です。
 けっして、競技スポーツ指導者の言う「相手に勝つ」ではありません。
 また、型の打ち方の強要や試合方法の強要ではありません。
 まだ、昔の常識にすがっているまたそれだけしかできない指導者がたくさんいます。
 もう一つ間違いがあります。相手を敵とみなしてプレーをしていることです。
 相手は、今の自分のレベルを判断するためにあるのです。
 その相手をたくさん経験することが自分の伸びしろ値を高くします。
 子どもたちに相手を敵とみなして指導させるのはいかがなものでしょうか?
 昔の常識は、今の非常識です。
 自己流としてやるのは結構ですが、
 ただ、未来ある子どもたちへ教えるのは、いかがなものかなと思い続けています。
 このような昔の常識を子どもたちに指導すると子どもたちはストレスになります。
 学校の学習でも、苦手な教科の点数などを今日から明日へ高く上げていく伸びしろ値が「勝つ」です。
 これも、友だちとの比較ではありません。
 おわかりになりましたでしょうか。
 すべて、子どもたちの自分自身の伸びしろ値を高めることです。
 指導者は、指導する全ての子どもの伸びしろ値を高めてこその真の指導者です。
 学校の学習のマニュアルをそのまま教えることが指導とはいいません。
 そのような指導では、子どもたちの伸びしろ値は高まりません。
 前に解説しましたが、子どもたちの伸びしろ値を高めるためには、「楽しい、心地よい運動」が必要になります。
 これを競技スポーツにどう反映するかがこれからの指導者に求められています。
 子ども期の「勝つ」の本意についてもう一度考え直してみてください。
 子どもたちには「楽しい、心地よい運動」が必要なのです。
 Jr-openは、その環境を整えています。
 その環境とは、前述のような歪んだトーナメント戦ではなく、子どもたちの真の実力を試すものが必要です。
 今年度も4月9日(日)盛岡市立太田テニスコートで始まります。
 大勢の子どもたちが、大人の力を借りずに、自分なりにまた違う学校の友だちと協力しながら、Jr-openを完成させていきます。
 子どもたちの優越性の追求をくすぐりながら、それを「楽しい、心地よい運動」に方向付けする取り組みをぜひご覧ください。
 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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