発達段階における子どもの運動(仕事)2
私の論文で「「生きる力」にみる子どもの発達の考察」を掲載しています。内容の概略は、「生きる力」とは、子どもたちが判断の根拠や理由を明確にしながら自分の考えを述べる能力や自分の人生や社会とのつながりを強くし、学習したことを生活や社会の中で活かしていくためであり、これからの子どもたちに必要なものは、「知の探索」です。自分で考え、述べることです。自分の頭で考えて、自分にふさわしい、自分のやり方を見出すことです。自分の頭で考えて、新しいやり方を創り出し、新たな行動に移すことです。また、人と違うやり方で挑戦する力を養うことやそのような人に共鳴することです。過去のやり方は参考にしつつも流されないことです。既存のルールに埋もれず縛られないことです。他人の評価を捨て、自分を肯定する価値観を持つことです。と、説明しています。
人間は、まわりの世界をより深く、より広く知っていくことを「認識の発達」とまわりの世界とより深く、より広く関わっていくことを「関係の発達」をバランスよく経なければなりません。
私たち人間にとって「世界」とは、単なる物質的な自然世界ではなく、人間自身が長い歴史を重ねてつくり上げてきた「人間社会」、すなわち社会的・文化的な共同社会です。人間はこのような共同社会を生きています。この世界は「物質」によって成り立っているのではなく、「観念」によって、すなわち意味(概念)や約束(規範)によって成り立っています。これが生まれ落ちた子どもが、知っていき、関わっていかねばならない人間固有の世界なのです。ここから、人間独自の精神発達の構造が生まれてくるのです。
<認識の発達>
世界をただモノとして物質的に知覚してとらえ分けていくのではなく、まわりの人たちが歴史的・社会的・文化的につくり上げて共有している「意味」や「約束」からなる観念の世界としてとらえ分けていくことの発達を意味します。
<関係の発達>
ただモノとしてある環境世界に物質的にかかわることではなく、まわりの人たちと対人関係的・社会的に関わっていくことの発達を意味します。
この「生きる力」を脳から考察しますと、「脳を育てる」からこの「新しい脳のネットワークをつくる」で紹介しましたことが起きているのです。
つまり、シナプスの可塑性です。神経細胞(ニューロン)が手を伸ばして、情報を伝え合っているのです。人間の脳には、約1000億個のニューロンがあるといわれています。神経細胞(ニューロン)は、樹状突起があって他の細胞からの情報を受け取るアンテナの役割をもっています。この情報を受け取る役割がシナプスと呼ばれる特別な構造を持ったものです。
この「生きる力」から、脳に「新しい脳のネットワークをつくる」ためのケアを促進しましょう。次回に続きます。