認識の発達と関係の発達
子どもの心身の発達のケアをご説明する前に、再度、「発達障害」とはどのようなものなのかを説明します。
現在、発達障害の診断には、世界保健機構(WHO)によるICDと、アメリカ精神医学会が策定したDSMという診断基準が用いられています。子どもの相談で相談機関や医療機関を訪れたときには、これらの診断基準に基づいた名称が使われると思いますので、簡単に説明します。
現在、DSMの最新版は、2013年に発行されたDSM—5です。この改定のときに障害の定義や名称について見直しがされ、「発達障害」は「神経発達症群」、各障害名も「障害」という言葉は極力使わずに「〇〇症」という翻訳名に変わりました。
しかし、2019年5月のWHO総会で承認されたICD—11が日本国内で適用されるまでは、公文書などではICD—10に準拠しているのが現状です。一般的に知られている「発達障害」という名称を使用し、障害特性については、DSM—5で採用されている名称を使用しています。
「発達障害」とは何なのか簡単に説明します。
発達障害は次の7つに分類されます。それは、①知的能力障害群(知的障害)、②コミュニケーション症群、③自閉スペクトラム症、④注意欠如・多動症(ADHD)、⑤限局性学習症(学習障害、LD)、⑥発達性協調運動症、⑦そのほかの神経発達症群です。
ネット上では、「発達障害」という名称がロゴ化しているように思えます。「発達障害」は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。つまり、脳の機能障害なのです。それで得意・不得意の特性と、その子が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。一概に発達障害といっても、前述のとおり7つに分類されるのです。また、その症状の特徴や子どもの思いや対応などは千差万別です。では、その7つの分類の特徴や対処などについて次回に説明します。