発達の基本構造②
保護者の方にご理解いただきたいのが、精神医学の診断は、同じ「診断」という言葉を用いていても、身体医学の診断とは考え方も分類方法も診断方法も全く違い、したがってそこで捉えているものの性格も違うことを知っておく必要があります。
精神医学診断は、一口で言えば精神的な症状、すなわち「その人の行動として現れるもの」の解釈の仕方であって、近代医学的(自然科学的)な「診断」ではなく、社会的・対人的な(むしろ人文科学的な)「判断」なのです。
どこまでも診断者の推測による「判断」、つまり主観に基づく解釈であるため、精神医学診断は、近代医学が診断に求める自然科学的な意味での固い「客観性」や「確定性」はもたない。とはいえ、「判断」にも、妥当な判断もあれば誤れる判断もあります。深い判断もあれば浅い判断もあります。
※参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著