現代社会と自閉症スペクトラムの増加②
<学業不振と支援>
知的なおくれはないのに学業が伸び悩む児童生徒、やればできそうなのにやってもできない児童生徒がかならず教室にいます。それも基礎のところまでつまずいているため、どんどん勉強がおくれてしまいます。このような学業不振は親や教員にとって大きな問題になります。このような学業不振にはどんな場合があり、どんな支援が役立つのだろうか。一つずつ考察します。
1 IQが境界領域にある子
知能検査をすればIQ75以上で知的障害ではありませんが、一般平均のIQ100には届かない子が一定の割合でいます(境界知能と呼ばれています)。他のことは大丈夫でも、学校の勉強は得意とはいかないのです。知能検査の数字はいろいろ得手不得手のある能力の全体平均をとったものですから、平均すればIQ75以上でも、例えば算数をこなすのに必要な力はそれより低いといった場合もでてきます。特異的発達障害における発達性計算障害(算数障害)ではないけれど、他教科は何とか頑張れても算数はついていけないといったことが起きます。教育概念としての学習障害learning disabilityには、この境界知能タイプが多いと思われます。「スモールステップでゆっくり時間をかけて」という軽度の知的障害をもつ子への学習指導の方法が支援になります。
参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著