発達障害とは
<なぜ急増したか②>
日本の場合は60年代からアスペルガー型自閉症が知られており、診断カテゴリーにも入っていましたので、必ずしも診断範囲の拡大だけでは急増を説明しきれません。アスペルガー症候群領域にある人たちは昔から存在していたはずだけれども、昔は今ほどの生きづらさがなかったのかもしれません。
90年代以降、その人たちの「数」が増したのではなく、その人たちの「生きづらさ」が増したのだと思います。そのため、診断範囲の拡大に呼応するように、臨床の場に浮かび上がってきた可能性があります。発達におくれをもつ者は環境に弱いのです。この時期に進んだ大きな社会構造の変化によって、この人たちにとって生活環境が急速に負荷的なものと化したのではないだろうか。
参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著