週明け朝一は,うれしい妊娠報告でした^^
薬局薬剤師の笠原友子です。
薬局店頭で糖尿病を中心とした生活習慣病対策を行っています。
今回は、治りにくかった頻脈・不整脈が、身近な小さな対策で劇的に改善した例をご紹介します。
夜寝ようとすると襲われる不整脈、脈が不安定でどうにも眠れない。仕事中もふとしたことで不整脈が始まり、仕事に集中できない。主治医は大きな病院への紹介状を書いてくれるも、検査をしても大きな異常は見つからず、また主治医のもとに戻されてくる。
仕事をしていても家庭で家事や育児をしていても、頻脈が起き始めると手につかず、その場にしゃがみ込む毎日。職場は少ないスタッフで回していますが、子供たちが小さいこともあって病院に行かせてくれます。それでも治らない。薬を飲んでもちっとも改善しない。
このような不安定な毎日を繰り返していた若い母親が、処方箋を持って来られました。
この繰り返す不整脈が、あることをきっかけに劇的に改善したのです。
不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。
心臓の病気のはずの頻脈や不整脈ですが、事の顛末を聞き、検査結果を見せていただいて、筆者は別の原因を考えました。
「貧血」です。
処方薬には貧血対応の薬は出ていませんでしたから、さっそくその日から補給を始めていただきました。
一般的な無機鉄の鉄剤ではなく、有機鉄とビタミンC剤。時間差で、空腹時に亜鉛を含んだサプリメントも補給していただいたところ、劇的に翌日に、正確には当日夜からぐっすり眠れるようになり、頻脈は治まったと連絡を受けました。
ヒトのからだは酸素がないと正常に働きません。その酸素を運んでいるのが赤血球で、赤血球の中の血色素ヘモグロビンが酸素を運んでいます。貧血は血色素が足りない状態ですから、そもそも酸素不足が起きていて、金魚が酸素不足でパクパクすると同じように、心臓が頻回に動いて補ってくれていた。と言うと分かるでしょうか?
その心臓の運動エネルギー自体も鉄がないと作り出せませんから、貧血はあなどれませんね。
次回受診時に、鉄剤が処方されてきましたから、主治医も認めてくれたという事でしょう。
病院の鉄剤と我々が使う鉄剤は少しだけ違います。ですが、子育て中のママには市販のサプリメントも高かったでしょうし、処方薬の鉄剤で頻脈が治まるようならこれも方法です。
薬を使う以外の身近な改善方法の例
筆者自身は若いころ貧血になりやすかったのですが、病院で処方される鉄剤をのむと気持ちが悪くなっていました。出産を控えて入院した時、正常範囲内だけど貧血気味になりました。鉄剤が飲めないならと鉄剤の注射を打たれたことがありましたが、注射は静注している途中で気持ち悪くなってしまいまして、主治医が貧血対策は私に任せてくれることになりました。
遠方の病院に入院中でしたので、自宅の薬局から持ってきてもらえるものはありません。そこで、病院の売店を探索。
見つけてきたのは、次の2品。
「100%オレンジジュース」「焼き海苔」
赤血球以外の血球は減少していなかったので、栄養補給で乗り切ることにしました。
「焼き海苔」に含まれる鉄分とたんぱく質
(※味付け海苔は、塩分摂り過ぎになるのでおすすめしません)
これを100%オレンジジュースの中のクエン酸と還元剤として添加されているビタミンCで吸収を上げる。
看護師詰め所でハサミを借りて、焼き海苔を短冊形にチョキチョキ。
ご飯を一口食べるごとに焼き海苔で巻いて、食後に100%オレンジジュースを100ccほど。
これを毎食繰り返しました。
赤血球の寿命は120日ありますから、入れ替わるのには120日かかりますが、造血が順調であれば、全部が入れ替わるまでに数値的にも改善してきます。
次の採血には改善が見え始めていたので、このまま鉄剤の処方なしで主治医のお許しをいただいたというわけで、冒頭のママにもこの方法をお伝えしておきました。
この貧血、出産前に改善しておかなくてはいけないのには、もう一つ理由があります。
出生後の赤ちゃんの神経発達に影響してしまうのです。
たかが貧血、されど貧血。あなどれません。
体型・年齢によらず気を付けたいものです。