間食回数が多いとむくみますよ!
子育て世代の健康を考えるまちかど糖尿病指導薬剤師の笠原友子です。
遠方に住む年老いた親の存在は、気掛かりでもあり、いつまでも親は親であって、顔を合わせていても老化に気づけない場合があります。
薬局と言うのは、薬の飲み残しなどから比較的早期に認知力の低下に気づける場所です。
薬以外にも、日常の世間話の中から病状の変化を知って、担当医に連絡することもしばしばあります。
日頃薬局店頭で、初期の認知症に気づいて早期受診につなげたり、日々の見守りを行ないつつ地域の多職種や遠方に住むお子さんたちと連携を取ったりもしています。
そんな、薬局での初期の認知症の気づきポイントと実際を今回はご紹介します。
今回の記事は、認知症専門医長谷川嘉哉先生のコラム『歯科で判明!「認知症発症の兆候」とは【認知症専門医が解説】を参考に書かせていただいております。
薬局に来られる診断前の認知症患者さんのタイプは?
ふつうに自立して生活しておられ、自分で車の運転もして通院しておられます。
お子さんが帰省されても、今までと変わらない様子なので、初期症状に気づく方は多くないです。
1_(1)程度として軽い場合が多い
病院に受診しても、医師や看護婦が気づかないレベルの早期の段階で、薬局では異変が起き始めています。
1_(2)1人もしくは夫婦で来局されている
本人も自覚しない程度の軽症が多いため、一人またはご夫婦で来局される場合がほとんどです。
。
1_(3)家族も気が付いていない
一人で通院し、車も運転しておられるので、遠方のお子さんはもちろん、ご家族も異変に気付いていないことが多いです。
薬局来店時に気づく認知症の兆候は?
日常の細かいエピソードの積み重ねで、気づきます。
2-(1)処方せんや健康保険証を無くす
大事なものだから無くさないでおこうと思う一心で、カバンにしまい込んで探せなくなっておられます。病院でもらった処方せんを無くさないようにしようと、自宅に帰って出直すと、さらに無くすことが増えます。
2-(2) 飲み間違いや飲み残しが増える
薬剤師が間違う事も無いわけではありませんから、複数薬剤師で確認して薬をお渡ししていても、頻繁に
「薬がたくさん入っていた!」とか
「薬が足りなかったけど、先生には黙っておいてやる!」とか
自分が間違って飲んだとは言いませんから、残薬調整で処方調整を願い出ています。
残薬調整の回数と量が増えて来たら、用心です。
どういうわけだか、薬袋からぜんぶ薬を出してしまって、飲めなくなる方もいます。
また、ヒートの薬も1個ずつ全部バラシて飲めなくなる方もあります。
このような方の場合、飲みやすいようにと日付を入れると、余計に混乱して飲めなくなることがあります。
下記図は、2年間の残薬調整した医療保険ごとの割合です。
高齢者は、初期認知もあって飲めなくなる方もあります。
2-(3)受診予約を忘れる
病院で次回予約票をもらって、数分後に薬局に来ても、すでに予約票を紛失していることがあります。次回予約日をお尋ねしても、覚えておられませんので、病院に確認して、お薬袋に赤マジックで書いておきますが、それでも薬を袋から出してしまって分からなくします。
2-(4)薬が出来るのを待てなくなり、怒り出す。それも突然ブチ切れる!
田舎の人は、公共の交通機関が無く、乗り物の時間を待つ習慣がありません。
そんな待てない方が多い中で仕事していますが、5分が待てなくなり、突然激怒されて驚くことがあります。
それでも、当薬局に来られる患者さま方は、当初は歩く瞬間湯沸かしであっても、何度か来局いただき、過ごしていただくうちに、どの患者さまもお人柄が穏やかになってこられるのは不思議です。
待つのが嫌でいったん家に帰って出直すとおっしゃって下さることも多いですが、出直すのを忘れてしまわれると、電話呼び出しをすることになります。
2-(5)呼んでも気づかないことが増える
お薬が出来て、お呼び出しをしても、耳は遠くない方であっても聞こえていないのか気づかないのか、おそばまで行って肩をゆすって気づいていただくことがあります。
2-(6)服装が季節と合わなくなる
夏服と冬服をごっちゃに着て来られるようになったりします。
暑くないですか?寒くないですか?とお尋ねしても、ご本人はぜんぜんへっちゃらです。
2-(7)いつも同じ服装をしていたり、服装が汚れてくる
着替えたり、洗濯すると言う行為自体を忘れてしまうのか?汚れて来られます。
2-(8)痩せてくる
特に夏場は、見た目で痩せて来られることがあります。どうやら食べていないことすらを忘れてしまう方があるのです。血液検査結果を見せていただくと、脱水の兆候が出ている方もあります。
このような方は、命にかかわるので早めに介護の関係者につなぎます。
2-(9)自動ドアを押そうとしたりする
自動ドアをこじ開けようとしたり、押そうとしたり、自動ドアもウロウロ困っています。
2-(10)財布に小銭が多くなり、数えるのを面倒がるようになる。
時間があるときは小銭入れいっぱいの小銭を両替してあげることもあります。
自分で数えるのが面倒になって、一斉に押し込むのか小銭入れがパンパンになっています。小銭を数えるのに今までの倍以上の時間がかかるようになっておられます。
2-(11)駐車場のスペースを2-3台分使って駐車するようになる。
車で来局される方も多いですが、車を駐車ラインに沿って停められなくなって来られます。
車数台分のスペースに横または斜めに、的を広くとって停められることが増えて来ます。
そればかりか、車に擦り傷が増えて来ます。
2-(12) 道を間違える
薬をお渡ししながら、日常のご様子をお聞きしていると、道を間違えたエピソードが出ます。
たとえば、
・夕方暗くなって運転していて、自動車道路の降り口と登り口を間違えて侵入した。
・気づいたら自動車道を逆走していた。
・道路工事をしていたら、帰り道が分からなくなった。
・雪で道が白かったら、右折と左折を間違えて、反対方向に延々走っていた。
・ハンドルを切り損ねて、縁石や垣根にぶつかった。 など
「兆候」をいかに家族に伝え、周囲の見守りの輪を作っていくか?
親にはいつまでも元気でいて欲しいと言う妄想に近い勝手な願望を子供は抱きがちで、
ほんとうにデリケートに、分けてお伝えして行きます。
3-(1)お子さんたちの連絡先を緊急時連絡先として確保する
安全のためにと、親御さんにお子さんの連絡先をお聞きしておくこともあります。
3-(2)盆暮れ連休にお子さんが来局されたときに、連絡先を確認しておく
お聞きした連絡先が、引っ越し前のものだったりすることもあるので、
「何か様子に変わったことがあったらお知らせしますね」とご案内して確認させていただきます。
3-(3)緊急キット設置の紹介を行い、公共のゆる~い見守りにつなぐ
お子さんに連絡先を確認した際に、社会福祉協議会で準備している緊急キットのお話をし、申請先をご紹介して、親御さんに公共のゆる~い見守りの中に入っていただくことの了承を戴いています。
すぐに申請に行けないときには、先にこちらで連絡して親御さんの様子確認をしていただくことの了解を戴き、早めの公共の見守りにつなげています。
3-(4)訪問等で様子の変化があったときには、地域包括等公共の見守りにすぐにつなげる
すでに連絡先が確保できているので、様子に変化があったときは、連絡するとすぐに担当者が確認に行き、介護保険へとつないでくれています。
3-(5)今までまだ、ご家族に怒られたことはない
時間をかけて信頼関係を作っていき、公共の見守りにつなげているせいか、相談や愚痴を発散に来られることはあっても、今までまだ怒られたことはありません。
遠方からの介護はとっても大変ですから、地元で仕事をするものとして出来ることを応援するのみです。
まとめ
薬の飲み忘れや飲み間違いがあっても、生活に大きな支障のない程度の頃に薬局で気づいて、遠方に住むお子さんたちにお伝えしていますが、理解され、車の免許を返納して、介護申請と利用への行動に移っていただくのに、約2年かかっています。
もちろん急激な進行の場合は、安全確保のためにそんな悠長なことは言っていられませんが、親の老化を受け入れるのに2年ほどかかるのが現状です。
盆暮れ連休に帰省した時は、親御さんの立ち回り先医療機関の確認をしておかれるといいです。親御さんの介護の準備は、早い時期からゆっくりと理解を進めていきましょう。