肝臓が弱ると、「心臓が砂糖漬け」に~肝臓に休息と栄養を!
糖尿病は飽食の時代の栄養失調 や3タイプに分けられる糖尿病患者でご紹介したように、高血糖は栄養不足で起きる話をして来ましたが、今回は高血糖の放置が栄養不足の原因を作ってしまうお話です。
栄養素ミネラルの運び屋は血糖により吸着します。
血液に乗って必要な臓器や細胞に栄養素(中でもミネラル)が届かなければ、健康は維持できません。ところが配達役のタンパクがないとミネラルは体の隅々まで届きません。そのタンパクのことをアルブミンと言いますが、これは、血液検査データの中にもありますね。
体の隅々へ、栄養素を配達する役割をアルブミンは担っているわけですが、このアルブミンをつくっている臓器は肝臓だけです。
配達役のアルブミンが少ない体では、体は網目の粗いザルのように尿の中に栄養素を排泄してしまうことになりますから、ブドウ糖は代謝できず血糖値は上がりやすくなります。その上、糖尿病になるとさらに大変なことが起こります。
アルブミンは、栄養素(ミネラル)よりもブドウ糖の方に吸着してしまいます。それも一度結合したブドウ糖は絶対に離れません。
これにより糖尿病の患者は必ず栄養(ミネラル)不足が起きてしまうのです。
この表は、医師による臨床検査の結果です。血液中のミネラル濃度の測定値ですが、*マークがついているのは、明らかに少ないことを示しています。この表には出ていませんが、同じ研究の中で血液中の別のミネラル値も低くなっています。
病院にはアルブミンを増やす薬はありません。
病院ではアルブミンを増やす薬を処方してくれません。アルブミンを増やすことができるのは、漢方と栄養素とタンパク質補給だけなのです。
アルブミンの寿命は2週間ほどですが、肝臓に働いてタンパク合成を促す漢方薬やサプリメントをとると、早い方では飲み始めて3日目には血液中のアルブミン値が上がり始め、6日後には体調がよくなってきます。
かつて、医師たちで組織された「薬用人参研究会」では高麗人参の紅参(コウジン、市販されています)を研究していましたが、これは肝臓に働いて、アルブミン合成を促してくれる漢方です。必要な量をとると3日目くらいから元気が出てきます。
健康保険で使える薬の中にもコウジン末として収載されていますが、保険財政がひっ迫している今日では、自費で購入して飲まざるを得ない状況です。
アルブミンの製造は、加齢とともに下がります。
次のグラフは、東海大学大櫛陽一先生の著書にある「血液中のアルブミン値の基準範囲」です。
グラフを見てわかるように、年齢を重ねると、アルブミン値は下がっています。血中アルブミンが少ないと代謝に必要なミネラルが運べませんから、ミネラルの尿中排泄量も増えるほか、この分だけ代謝能力も下がってきます。年をとると疲れやすいのも、このためです。
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糖尿病患者さんの体は、自由に働けるアルブミン量が限られています。あくまでもこの数値だけで判断した場合、糖尿病になると、人並み以上に老け込んでしまうとみることもできるでしょう。
アルブミンは血液検査で測定されますが、血液中にあるアルブミンは体内の3~4割に過ぎません。残りは血管の外にプールされてバランスをとっています。そのため、血液検査でアルブミン値が低いと指摘された方は決定的に少ないのです。栄養状態が悪いことを表していますから、大急ぎで食事の見直しをしましょう。
アルブミンは、血液中の水分調節(浸透圧)の役割も担っています。そのため、手足のむくみでもその低下を感じることはできます。年齢を重ねたり、お酒を飲み過ぎが続いたり疲労がたまると、からだがむくんで重く感じることがあるでしょう。アルブミン不足のサインです。
ところがこんな時に病院で処方されやすい薬は利尿剤です。中には栄養素(ミネラル)を尿中に排泄しやすいものまであります。これでは逆効果です。服用すると、かえって栄養バランスを崩しかねません。
薬はリスクも併せ持つことを忘れずにいましょう。