肝臓に休息と栄養を! 肝臓の酷使が糖尿病を悪化させる
肝臓に休息と栄養を!の4回目です。
前回は、血糖コントロールは肝臓の役割と言う話しでした。
肝臓が血糖コントロールを上手くできないと、全身に影響します。今回はそんなお話です。
肝臓にストックされなかった多すぎるブドウ糖は、心臓を砂糖漬けにしながら全身の血管を糖化現象で傷めていきます。糖尿病が全身の血管病と言われるゆえんです。
パキッ!と傷つきやすく、炎症も起こしやすい。傷を修復しようと血管内でかさぶたをつくると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。そこで、かさぶたがつくられにくくなるバイアスピリンなどの血小板凝集抑制剤が処方されます。
肝臓に貯蔵糖としてストックしきれないぐらいのたくさんの糖分は、インスリンの働きで肝臓にも脂肪として蓄えられます。必要以上に蓄えられた状態が脂肪肝です。
脂肪肝と言うと、肝臓の周りに脂肪がべったりついているイメージを思い浮かべがちですが、実際は、肝臓の1つ1つの細胞の中に脂肪がため込まれた状態です。そのために、肝臓が仕事をする場所が狭くなってしまいます。その上、血糖値を微調整しているグリコーゲンの居場所までも圧迫します。
血糖の貯蔵場所が圧迫され、病気の特徴としてただでさえ肝臓でタンパク質から糖をつくりやすくなっている上に、蓄えにくくなるわけですから、年齢に関係なく食後高血糖となってしまいます。
前回の、血糖コントロールは肝臓の役割のダムが小さくなってしまった状態です。
このようにアルコール摂取に関係なく、脂肪として肝臓に蓄えられた状態は、非アルコール性脂肪肝とよばれます。その中で約10%が肝臓に炎症が起きて、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH ナッシュ)に進行し、さらにその約10%が肝硬変や肝ガンにまで発展します。高血糖というだけで血管に炎症が起きやすくなっている上に、肝臓にまで炎症が起き、重大な病気の発症リスクを上げているのです。
肝炎と言うと、ウィルス性肝炎や、アルコール性の肝炎を思い浮かべがちですが、非アルコール性脂肪性肝炎は、生活習慣病の延長線上にある肝炎です。生活習慣が原因ですから、脂肪肝と診断されている間に改善することも可能です。ダイエットもしないのに急に痩せてきて糖尿病の悪化かと思っていたら、「肝ガンだった」なんて、ベッドの上で後悔していただきたくはありません。