更年期の不調を乗り越える!自律神経を整える鍼灸の力-更年期をもっと穏やかに過ごすために-

中田和宏

中田和宏

テーマ:健康とはり


はじめに

更年期障害に対して鍼灸治療は効果的です。更年期障害は、ホルモンバランスの変化に伴う様々な症状を引き起こすことがあり、個々の症状に対するアプローチが必要です。鍼灸は、自律神経のバランスを整え、ホルモンの調整を助けることで、更年期障害の症状緩和に効果をもたらすことが期待できます。

更年期障害に対する鍼灸治療の効果

ホルモンバランスの調整


鍼灸は、体内のエネルギー(気)と血液の流れを促進し、ホルモンのバランスを整える手助けをします。これにより、更年期特有のホットフラッシュや発汗、疲労感などの症状を軽減することが期待できます。

自律神経の安定化


更年期障害は、自律神経の乱れが原因となることが多いです。鍼灸治療は、ストレス軽減やリラックス効果をもたらし、自律神経の調整をサポートします。これにより、不眠やイライラ、動悸などの症状が緩和されることがあります。

痛みや緊張の緩和


更年期には肩こりや腰痛、頭痛などの身体的な症状が現れることがあります。鍼灸は、筋肉の緊張をほぐし、血流を改善することで、痛みの軽減に寄与します。

精神的なサポート


更年期障害には、気分の落ち込みや不安、イライラ感といった精神的な症状も含まれます。鍼灸は、リラックス効果があり、心のバランスを取り戻すためのサポートとして有効です。
また症状だけでなく患者さんを取り巻くいろいろな状況をお聞きし(お話ししていただける範囲で)共有することで治療に役立て気持ちを楽にします。鍼灸治療は病院と違ってお話をお聞きしながらゆっくりと施術を行うことができます。

鍼灸でのアプローチ


治療は個別の症状に合わせてカスタマイズされますが、以下のようなツボがよく使用されます:

関元(かんげん)
: 下腹部にあるツボで、ホルモンバランスを整えるために用いられます。
三陰交(さんいんこう)
: 足首の内側にあるツボで、ホルモン調整や血行促進に効果があります。
太谿(たいけい)
: 足の内側にある足少陰腎経のツボで、更年期の疲労感や冷えに対応するのに使用されます。
このほか、命門や次髎などがあります。

鍼灸治療のメリット


副作用が少なく、自然療法であること


鍼灸治療は、薬を使わない自然療法として、身体が本来持つ治癒力を引き出すことを目的としています。そのため、副作用が非常に少なく、安全性が高い治療法として知られています。例えば、薬のような消化器への負担やアレルギー反応が起きるリスクが低く、どの年代の方にも安心して受けていただけます。特に、更年期のように長期的なケアが必要な場合でも、心身に優しい選択肢としておすすめです。

身体全体のバランスを考慮した治療ができる


鍼灸は、東洋医学の「全体観」に基づいています。局所的な症状だけでなく、身体全体のエネルギー(気)や血液の流れを整えることで、根本的な改善を目指します。例えば、更年期障害のホットフラッシュだけでなく、不眠やイライラ、倦怠感といった関連症状も同時にアプローチすることが可能です。また、患者一人ひとりの体質や生活習慣に合わせたカスタマイズ治療を行えるため、個別のニーズに応えられる柔軟性があります。

継続的な治療で体質改善を目指せる


鍼灸治療は、単発の効果だけでなく、継続的な施術によって身体の根本的な体質改善を図ることができます。更年期障害の場合、ホルモンバランスや自律神経の乱れが症状の原因となるため、これを徐々に整えることで長期的な健康維持が期待できます。また、定期的に治療を受けることで、冷え性や肩こり、疲労感など慢性的な不調が改善し、より快適な日常生活を送るための土台が作られます。

自宅でのセルフケアで継続刺激が行える


鍼灸治療では、施術後も自宅でセルフケアを続けることで、治療効果を高めることが可能です。たとえば、治療で刺激したツボを指圧やお灸で自分でもケアすることで、鍼灸の効果を維持しやすくなります。特に更年期のように症状が長引く場合、患者自身が日常生活に取り入れられるセルフケア法を知ることで、心身の状態をより良く保つことができます。これにより、患者自身が健康維持の主体となる意識が育まれる点も大きなメリットです。


更年期障害に対する鍼灸治療の具体的な症例報告は、患者個々の症状や体質に合わせたアプローチが重要ですが、いくつか代表的な例を紹介します。

症例 1: 50代女性、ホットフラッシュと不眠

主訴: 50代女性が、ホットフラッシュ(のぼせと多汗)と不眠症で来院。1日に数回、突然の熱感と大量の発汗があり、夜は頻繁に目が覚めてしまうため、日中の疲労感が強いと訴えました。
治療内容:
使用したツボ:
百会(ひゃくえ): 頭頂部にあり、自律神経の調整に効果的。ホットフラッシュの緩和を目指しました。
太谿(たいけい): 腎経のツボで、身体を温めることで冷えと疲労感を改善。
神門(しんもん): 手首の内側にあり、不眠や精神的な不安を軽減するために使用。
関元(かんげん): 下腹部にあり、ホルモンバランスを整える目的で選択。
結果: 初回の治療後からホットフラッシュの頻度が減少し、不眠の症状も改善の兆しが見られました。治療を週に1回、約2か月間継続したところ、ホットフラッシュはほとんど消失し、夜間の睡眠の質も大きく向上しました。

症例 2: 60代女性、イライラ感と倦怠感

主訴: 60代の女性が、更年期による強いイライラ感、集中力の低下、そして全身の倦怠感を訴えて来院。特に午後になると疲労感が強まり、仕事に支障をきたしているとのこと。
治療内容:
使用したツボ:
三陰交(さんいんこう): 足首の内側にあり、ホルモン調整や気血の流れを改善するために使用。
内関(ないかん): 前腕にあり、精神的なストレスや不安感を和らげる。
足三里(あしさんり): 脚にあるツボで、全身の気の巡りを良くし、エネルギーレベルを向上させるために選択。
結果: 治療を2週間に1回の頻度で行い、1か月後にはイライラ感が軽減し、集中力も改善しました。倦怠感も徐々に減少し、午後の活動も楽に感じるようになったとの報告を受けました。さらに、3か月間の継続治療により、全体的な生活の質が向上しました。

症例 3: 40代後半女性、動悸と情緒不安定

主訴: 40代後半の女性が、動悸や息切れ、不安感、情緒不安定で来院。特に、夜になると動悸が激しくなるため、眠れないことが多いと訴えていました。
治療内容:
使用したツボ:
内関(ないかん): 心の安定を促し、動悸を緩和する目的で使用。
心兪(しんゆ): 背部にあるツボで、心臓の機能をサポートし、心の不調を整える。
照海(しょうかい): 腎経にあるツボで、冷えや精神的な安定を助ける。
陽陵泉(ようりょうせん): 肝の機能を助け、イライラ感や情緒の乱れを整えるために選択。
結果: 週に1回の治療を1か月間続けた結果、動悸の頻度と強さが減少し、夜の不眠も徐々に改善されました。情緒不安定も緩和され、全体的に安定した精神状態が得られたとのことです。更に治療を続けることで、さらなる安定が見込まれました。

(紹介した症例は一部です。改善するまでの期間や効果は変わってきます。)

まとめ


更年期障害に対する鍼灸治療は、紹介した症例のとおり症状を総合的に捉え、ホルモンバランスや自律神経の調整と、患者さんごとの体質や生活習慣に合わせたセルフケアのアドバイスも併せて行うことで、多くの方が緩和効果を感じています。定期的な治療と日常生活でのセルフケアの組み合わせが、更年期を快適に乗り越えるためのサポートとなるでしょう。



令和6年11月24日に開催された「ツボで寄り添う~女性のリズムと東洋医学~」の動画がYouTubeにアップされました。

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中田和宏
専門家

中田和宏(鍼灸師)

トキの森鍼灸院

初診時のカウンセリングでどんな状態か明確にし、できることを説明します。施術計画を立てて最適な施術を提供します鍼灸治療にたずさわって約40年のベテラン鍼灸師が優しく対応しますお困りならまずご相談を!

中田和宏プロは北陸放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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