休んでも治らない人へ。慢性疲労の黒幕は“脳の炎症”

中田和宏

中田和宏

テーマ:健康とはり


慢性的な疲れや痛みは「脳」が関係している?
〜鍼灸で整える“脳と自律神経”のしくみ〜

「しっかり休んでいるのに疲れが抜けない」
「肩こりや頭痛がずっと続いている」
このようなお悩みを抱えている方はとても多くいらっしゃいます。
実はこの“慢性的な疲れや痛み”、単なる筋肉の問題だけではなく、脳の働きが深く関係していることが分かってきています。
今回は、慢性疲労や慢性疼痛と鍼灸治療の関係について、わかりやすくお伝えします。

疲労とは何か?実は「脳からのサイン」

疲労とは、「心や体に負担がかかり、活動する力が低下した状態」
のことをいいます。
症状としては、

  • 集中力の低下
  • だるさややる気の低下
  • 頭痛や肩こり
  • めまい、胃腸の不調
  • 気分の落ち込み

など、非常に幅広く現れます。
そしてこれらの多くは、いわゆる自律神経の乱れと重なります。

疲れの正体は「脳の炎症」

最近の研究では、慢性的な疲労や痛みは脳の中で起こる軽い炎症(脳疲労)と考えられています。
特に関係するのが次の部分です。

  • 前頭前野(考える・判断する)
  • 扁桃体(不安・恐怖)
  • 海馬(記憶・感情)

慢性疼痛の方では、

  • 不安や恐怖に関わる部分が過剰に働く
  • 意欲や判断力をつかさどる部分が低下する

というアンバランスが起こります。
その結果、「痛みをコントロールできない」「前向きな行動がとれない」という状態になり、症状が長引いてしまうのです。

鍼灸が脳に与える影響とは?

ここで注目されているのが、鍼灸による脳へのアプローチです。特に重要なのが、顔や頭への刺激です。

顔や頭のツボが効く理由

顔や頭には「三叉神経(さんさしんけい)」という大きな神経が分布しています。この神経を刺激すると、

  • 脳の血流が増える
  • 前頭前野の働きが活性化する
  • 自律神経が整う

といった変化が起こります。
つまり、脳そのものの働きを整えることができるのです。

鍼灸で分泌される“脳内の鎮痛物質”

鍼灸刺激によって、体内では次のような物質が分泌されます。

  • エンドルフィン
  • エンケファリン
  • ダイノルフィン

これらは「脳内オピオイド(脳内麻薬)」
とも呼ばれ、

  • 痛みをやわらげる
  • リラックスさせる
  • 幸福感をもたらす

といった働きがあります。
また、

  • セロトニン(心の安定)
  • ドパミン(やる気・快感)

の分泌にも関与し、慢性疲労やうつ状態の改善にもつながります。

慢性疼痛に対する鍼灸の考え方

慢性的な痛みの治療では、単に「痛い場所に刺激する」だけでは不十分です。
ポイントは、

  • 遠くのツボで“痛みを抑える回路”を活性化(下降性疼痛抑制系)
  • 強すぎる刺激は避ける(刺激が強すぎると逆に痛みが増えることも)
  • 安心感を与えながら施術する(不安は脳の働きを低下させるため)

といった点です。
特に、敏感な方や慢性化している方ほど、やさしく・的確な刺激が重要になります。

自宅でできる「脳を整える習慣」

慢性疲労や痛みの改善には、日常生活もとても大切です。おすすめは以下の習慣です。

  • 軽いウォーキング(セロトニンを増やす)
  • 好きな音楽を聴く(ドパミン分泌)
  • ゆったりした呼吸
  • 人に話す(ストレス発散)
  • しっかり睡眠をとる

こうした習慣は、鍼灸治療の効果をより高めてくれます。

まとめ

慢性疲労や慢性疼痛に対する鍼灸の目的は、

  • 自律神経を整えること
  • 脳の働きを回復させること

です。
特に、顔や頭へのアプローチは、脳機能に直接働きかける有効な方法とされています。
「なかなか良くならない疲れや痛み」でお悩みの方は、体だけでなく“脳の疲れ”にも目を向けてみてください。
鍼灸は、その両方にやさしく働きかける治療法です。

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中田和宏
専門家

中田和宏(鍼灸師)

トキの森鍼灸院

初診時のカウンセリングでどんな状態か明確にし、できることを説明します。施術計画を立てて最適な施術を提供します鍼灸治療にたずさわって約40年のベテラン鍼灸師が優しく対応しますお困りならまずご相談を!

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