<あごの関節のトラブルを歯科医が解説>もしもあごが外れたら…顎関節脱臼は口腔外科へ

飯田裕

飯田裕

テーマ:口腔外科疾患・治療、親知らず

1.顎関節の構造とその特殊性とは?

 顎(あご)が外れてしまった状態を専門的には「顎関節前方脱臼(がくかんせつぜんぽうだっきゅう)」と言います。これは顎の関節すなわち顎関節を構成している骨の形にもよりますが、本来の可動域を超えるほど大きく口を開けたり、事故などで顎を強打したり、顔を殴られたりすることで起こります。



顎が外れて脱臼してしまうと口が閉じられなくなり、唾を飲み込むことができなくなったり、声は出せてもしゃべることができなくなったりしてしまいます。また、外れた際には関節内部の靭帯など軟組織を痛めてしまうため、強い痛みを生じることもあります。

 顎関節は耳の穴のちょうど1cmぐらい前に位置していて、そこを指で触れながらお口を開け閉めすると動いているのがお分かりになると思います。両サイドにあって左右の頭の側頭骨と下あごの骨(下顎骨)とをつないでいますが、顎関節が手や足の関節と異なるのは、一つの骨…すなわち下顎骨に対して左右2か所の関節があること、しかもそれが連動して靭帯、腱、筋肉に支えられながら同時に下あごを動かしている点にあります。 単純にお口の開閉ができるだけでなく、前方と左右にも可動できる複雑な構造の関節なんです。 何らかの原因でその関節が外れたものを顎関節前方脱臼といいます。

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2.ホントにあごが外れたらどうする?

急に口を閉じることができなくなったり、唾液(だえき)が口からあふれる、頬骨の下に下顎が飛び出したようにみえるなどは、顎の関節がはずれた状態です。主な原因やきっかけとしては、大きなあくびをした時、硬くて大きなものを噛んだときなど、大きく口を開けた時などに偶発的に起こります。



 大抵は自力で元に戻すことは不可能ですから、慌てずに口腔外科を受診することをお勧めいたします。まれに事故などで脱臼した場合には下顎骨の骨折を伴っているケースもありうるため、レントゲンなどで精査する必要性も考えられます。ただし、救急車を要請する必要性はありません。しゃべれないだけでも皆さん自力で来院されますから。
 普通の歯科医院でも口腔外科のキャリアが長い歯科医師が在籍していれば対応してくれるはずです。休日夜間であれば口腔外科の当直医がいる救急外来を探していただくのがベターです。慣れている歯科医師であれば、比較的短時間で整復してくれるはずです。
 また、脱臼を繰り返す場合には手術も含めた治療が必要になることがあります。いずれにしても、十分な診察が必要なので早めに受診してくださいね。

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つくばオーラルケアクリニック(歯科・口腔外科) JR常磐線荒川沖駅より徒歩5分
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飯田裕
専門家

飯田裕(歯科医)

つくばオーラルケアクリニック

東京医大病院、東京共済病院などで口腔外科診療や手術を担当。放射線科でCTの画像診断、麻酔科で全身麻酔の研修を修了。この経験を生かしてインプラントの的確な事前診断、手術を実践。

飯田裕プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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