<歯科医が監修>初めての歯みがきのコツ=乳幼児のブラッシングはどうする?(小児歯科・虫歯予防)
深くなった大きな虫歯・・・歯医者が苦手だからと放置してしまい、運が悪いとどんな状態になるのかご存知でしょうか? たかが虫歯で命を落とす・・・現実に起こりうる最悪のシナリオついて解説させていただきます。
※このコラムの要旨は2014年3月3日に「専門家による時事ネタコラム ジジコ」に掲載されました。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/03/03/articles7887.html
虫歯の痛みを放置して歯の根っこの周囲に感染が広がり、口腔内細菌(口の中に住んでいるバイ菌…約600種類いると言われている)が顎(あご)の骨の中に化膿した病巣を広げながら、血液を介して全身にバイ菌がばら撒かれ、脳や心臓など重要臓器に炎症を起こしたり、免疫の機能不全をきたして血液がバイ菌だらけになってしまうなど、最悪のケースを想定してみましょう。
1.歯に虫歯で穴が空く
歯がムシ歯菌によって溶かされると、冷たい飲食物がしみる、甘いものを食べた後にしみるなどの一般的な虫歯の症状が現れます。
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2.穴が深くなりバイ菌が歯髄(歯の神経)を侵し始める
虫歯が歯髄に入り始めて歯の内部で炎症を起こすと、夜眠れないほど痛みがひどくなります。この状態を歯髄炎といい、熱いものもしみる、何もしていなくてもズキズキと強く痛み、ほとんどの方はこの痛みに耐えかねて、歯科医院を訪れることになります。
3.根を伝ってバイ菌があごの中へ
歯髄が完全に腐って死んでしまうと、一時的に痛みは治まってしまいます。しかし、この間バイ菌は根っこの中を通り、根の周囲に病巣を広げます。根の周囲が膿んでくると、鈍い痛みや疼くなどの症状が出始めます。この状態を根尖性歯周炎といいます。上記の歯髄炎で歯の治療を始めても、途中で中断してしまうと歯の中でバイ菌が繁殖し、すぐに根尖性歯周炎になります。強い痛みはありませんが、うずいたり噛んだときに鈍痛があります。顎の骨の中でさらに膿が溜まってくると、大きく腫れたり、熱が出るようになります
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4.あごの骨が腐り始める
顎骨の内部は骨髄と呼ばれるスポンジ状の柔らかい組織で、ここでバイ菌が拡がると骨が腐り始める場合があります。これを骨髄炎といいます。さらに骨髄には血液が豊富に流れているため、この頃になると血液にバイ菌が頻繁に混じるようになり、血流に乗って全身にバイ菌が運ばれるようになります(菌血症)。
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5.血液を介して全身にバイ菌が広がる
血液中には免疫機能を担うバイ菌と戦う白血球がいますので、通常はバイ菌が侵入してきても感染が広がることはありません。しかし、糖尿病などの基礎疾患がある方や、普段は健康な方でも、栄養状態が悪い、疲労の蓄積などで体力低下状態だと免疫力が低下し、白血球による防御が十分になされない場合があります。バイ菌が心臓に到達し心臓内部で広がって炎症を起こすと感染性心内膜炎、脳に到達すれば脳膿瘍(脳が膿んでいる状態)など、命にかかわる病状をきたしたケースが報告されています。
6.そして敗血症へ
また、新たな飛び火を生じなくても、元の病巣から血液中にバイ菌が供給され続けると、やがて免疫機能が破たんし、爆発的にバイ菌が繁殖して血液が腐った状態=敗血症となってしまう場合もあります。こうなると手の施しようがなく不幸な結末を迎えることになります。
虫歯以外に歯周病や親知らずの化膿を放置した場合にも、同様の転帰をたどった症例が報告されております。これらは適切な時期に歯の治療や原因歯の抜歯、抗生剤の投与が行なわれれば、ここまで大きな問題になりません。しかし、痛みや腫れがあるのを何度も我慢し、感染が広がった段階でも治療を行わないでいると、命にかかわるリスクが生じる可能性があることをぜひ知っておいてください。
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
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