歯科衛生士や助手を感染から守るために<歯科の感染対策、感染防御>
1.妊娠中でもレントゲン写真の撮影は可能です
歯科医院で撮影するレントゲン写真というと、一般的には以下の2種類の撮影法があるのをご存知ですか?
1)パノラマX線写真=顎全体を撮影する撮影範囲の広い写真
パノラマは虫歯が沢山ある方や、痛い個所がハッキリしない場合など、あるいは顎全体やすべての歯など、お口の中の全体像を把握するために撮影します。
2)デンタルX線写真=1~2歯の範囲で撮影する小さな写真
デンタルX線写真は解像度が良いので、個々の歯の状況を把握するのに用います。
出産を重ねると歯がボロボロに?
パノラマは顔の周囲を機械が回って撮影するため、デンタルに比べると多少は放射線の被ばく量が多くなります。デンタルX線写真なら、撮影部位が対象となる歯の周囲に限られるため、撮影自体が一瞬ですし、直接お腹にX線があたるという事はありません。また撮影部位が子宮から離れているため、防護エプロンを着用してお腹周りを保護すれば、赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。したがって妊婦さんの場合はリスクを避け、必要最小限の診査を行う意味でパノラマは必要ないかもしれません。
妊娠中の歯科治療① 治療が可能なタイミングは?
2.歯科レントゲンの被曝量は?
近頃は皆さんが被ばく線量に敏感になってらっしゃるため、もう少し詳しく申し上げますと、地球上で1年間に浴びる自然放射線量は、日本でおおよそ 2.3mSV(ミリシーベルト)です。同じ放射線量で、デンタルフィルムは150枚以上、パノラマは100枚撮影できることになります。また、私のクリニックに設置されているようなデジタルX線装置では、従来のX線撮影の1/7の被曝量ですみます。さらに防護エプロンの使用でX線を1/100程度に減弱させられるため、被曝量は限りなくゼロに近くなります。
※事前にデジタルレントゲンがあるかどうかチェックされても良いでしょう。不安な方は遠慮なく撮影を断っていただいてもかまいません。
レントゲン写真の撮影で被ばくする??レントゲンの安全性と放射
歯科医院(歯科医師)によっては胎児への影響を過剰に心配して、虫歯なら削ったりせずに薬を詰めるだけとか、ほとんど応急処置のみで治療を終わらせる前提で、「妊婦さんのレントゲン写真は一切撮らない」という方針の所もあるかもしれません。しかしながら、中身を確認せずに勘だけで治療をしても、治らないばかりか、出産間際になって我慢できないほど痛みが出る場合もあるわけです。前回のコラムでご説明したように安定期(16週~30週ぐらい)であれば、ほとんどの歯の治療は安全に行えます。個人的には治せるうちに、治せるところはちゃんと治療するべきかと思いますがいかがでしょうか?
妊娠中の歯科治療③ 麻酔や痛み止め、抗生剤のリスクについて
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
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