<歯科医が語る本音>歯科医院の派手な宣伝・・・違和感を感じるのは私だけでしょうか?
1.患者様は神様で医療もサービス業?
近頃は「医療もサービス業だ!」という考え方が当然の如く(?)普及して参りました。
患者さんからのウケを良くするため、他のサービス業、例えばホテル業界やエステ、飲食業などから、お客様として大切に扱う姿勢を学ぼうとする意識が高まってきています。それ自体は良いことだと思います。 よく若い看護師や歯科衛生士が、目上の男性の患者さんにタメ口で話しているのを見かけたりしますが、親しみを表しているとしても、もちろんそんなのは論外です。基本的な礼儀はちゃんとするのが当たり前です。私が気になっているのは、ホテルのコンシェルジュや航空会社の機内サービスのような姿勢を医療機関が目指すことなんです。カッコいい言い方をすれば、「ホスピタリティを大切に考える」ことなんでしょうけども、医療機関の本来の使命は・・・
「安全に、かつ適切に必要最小限の医療サービスを提供する」、
「健康増進のため、必要な予防処置や生活指導を的確に行う」
ことなどが求められている機能だと思いますが、それと別の次元でサービスの改善が図られているように思えてならないのです。方向性が違うと言うか、なんと言うか・・・。
「なるべく歯を削らない」は当たり前ですよね?!
2.医療機関にもホテルのような癒しが必要?
テレビで見たんですが、医療スタッフ向けの接遇研修やセミナーは盛況のようです。また、待合室を拡張してリニューアルする病院やクリニックも増えていますね、しかも待合室で待っている患者さんにお茶を配ったりしていました(笑)。
その心遣いは人として重要だとは思いますが、医療機関を訪れる患者さんが、癒しや楽しみ、気分転換を求めてお見えになるわけではないため、丁寧な応対や待合室が快適なことなど、目先のサービスの充実が第一義ではないはずです。
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また、10年ほど前には「患者様」とお呼びする医療機関が増えた時期がございました。おそらく「お客様」の感覚で「患者様」なんでしょうけども、このことに違和感があったのは私だけでしょうか?
3.患者さんの呼び方に病院の患者さんに対する姿勢が表れる。
患者さんをお呼びする際、「◯◯様」とお呼びするのと「◯◯さん」とお呼びすることに、そもそもどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの使われ方で、自分と相手との間の距離が微妙に違うのを感じられると思います。それは、自分と相手との関係をどこにおいているか、また逆に自分が相手をどう見ているかの違いからきています。
患者さん側からは、「さん」づけで呼ばれると医療者との距離を身近に感じ、親しみが湧いてくるはずです。「様」づけで呼ばれると、丁寧で大切に接遇されている印象を受けますが、逆に会話に距離感や違和感を覚えてしまうかもしれません。
医療者の側から見ると、「患者様」と呼ぶことは、医療サポートや情報提供はするけれど、「患者様の側には踏み込みませんよ、日常のことは自己責任でお願いします」という意思表示や取り組む姿勢に繋がってしまう気がしませんか?そもそも「様」が付く人に生活指導や療養指導などの上から目線の「指導」なんてできませんよね?
日本語的に考えても、病気や怪我をしたら偉くなって、敬称で呼ばれるのってなんか変な感じがしますね。ちなみに役所からくる郵便物はいつも「◯◯殿」で送られてきますが、「殿」は対等な関係を表しているようです・・・これはこれで何か不満を感じないでもありませんが(笑)
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したがって当院では患者さんをお呼びする際に、親しみを込めて「◯◯さん」とお呼びすることにしています。患者さんを苗字にさん付けで呼ぶことは、患者さんの持つ疾患に対して、「患者さんと対等に向き合います」という意思表示であり、取り組む姿勢を表しているつもりなんです。私たちはお茶も出しませんし、お辞儀も下手くそですが、建前ではなく、友人や家族と接する時と同様にご相談に応じ、丁寧に処置することを心がけています。
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
つくばオーラルケアクリニック http://www.tsukuba-occ.com/
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