<歯科医が教える歯医者選び>インプラント治療の歯医者の選び方 ~激安にご用心~
1.「インプラントは危険!」の報道の信憑性は?
インプラントは、歯を失った場合の治療法の選択肢の一つです。入れ歯と比べて利点の多い治療法ですが、近頃、患者さんより「インプラントって危ないんでしょ?」と聞かれることがあります。
2007年に東京の銀座の歯科医院で、出血多量による死亡事故の報道があり、2011年にはNHKの「クローズアップ現代」でインプラントの危険性が取り上げられて以来、一般の方々にもすっかり「危ないもの」、「良くないもの」として浸透した感があります。インプラント治療に携わる者として、大変優れた治療法だけに残念に思う次第です。
「歯科用CTで安全にインプラント」の落とし穴
インプラントは歯科診療の中では、比較的大きな負担を患者の体にかける外科手術であることに間違いはなく、手術である以上、「絶対に安全なもの」とは言えないものの、イメージ先行で「危険性ばかりが強調されているのでは?」と各種報道を見ていると疑問に思うのです。
2011年の「インプラントは危険!」の報道の直後、5月には日本顎顔面インプラント学会が事故調査を行い、2009~2011年の3年間に421件あったことがわかりました。
http://www.jamfi.net/PDF/anq_report120531.pdf
しかし、この「421件のインプラント事故」という数字が独り歩きして、週刊誌や新聞に躍ることになります。まるで事故が多発しているかのような印象を与えるニュースのソースになったのです。
各インプラントメーカーの本邦における年間の出荷本数は約60万本とされ、歯科診療所の約2割でインプラント治療が行われています。在庫に回る数も考えれば、インプラントの出荷本数60万本=手術件数ではないにしても、(どこの学会の統計調査だったか忘れましたが)日本では年間30万件以上のインプラント手術が行われているとされ、421件の事故は氷山の一角だったとして、3倍、4倍・・・あるいは10倍の事故が起きていたとしても、「事故が多発している」って言えるんでしょうか?
ブリッジとインプラントの比較 ブリッジはホントに安全?
NHKの「クローズアップ現代」は個人的に好きな番組のひとつで、有意義な番組だとは思いますが、「インプラントは危険である」という番組製作者のメッセージや意図のみで構成された内容だったことは大変遺憾に思います。インプラント治療が多くの患者さんの喜びを与えている事実、この20年ほどでデータが蓄積され、安全性が確立された治療法であることなどは、マスコミがほとんど触れない部分なので、一般の患者さんには報道に振り回されることなく、よく情報を吟味していただきたく思う次第です。
インプラント手術は痛い?痛みの度合いはどれくらい?
つくばオーラルケアクリニック http://www.tsukuba-occ.com/
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