休養中の面談
帰宅中の通勤途上で、夜道を歩いている女性が襲われて性的暴行を受けました。
精神的な落ち込み、何とも言えない不安感・恐怖感、不眠、食欲低下などの症状
に加えて、外出できない状態に陥ってしまいます。彼女が襲われた状況を想像する
と外出できなくなるのは当然とも思えます。
私が産業医として関わる労働者では、年に1~2名が性的暴行によるPTSDと診断
されています。ゆっくりと休養してもらい、どうにかして社会復帰、職場復帰して
もらおうと無い知恵をしぼって考えています。事件直後は、電話に出ることも怖く
て、クリニックへの通院もできません。家族に代わりに受診してもらいますが、
徐々に、家族が付き添って行けば本人が受診できるようになります。難関な問題は
ひとりで人混みに出られるようになることです。人混みでは、必ず背後に人の気配が
あります。いきなり人混みへ入ることは実行してもらいませんが、まずは自宅周辺の
散歩からはじめて、徐々に行動範囲を広げてもらいます。散歩中に、人とすれ違う
こともクリアしてもらわなければなりません。
そうです、まずは社会復帰です。社会での生活ができるようになってから、徐々に
職場復帰を想定して段階的に活動を増やしてもらいます。これまでの私の少ない経験
からにはなりますが、人混みに出られるようになると急に復帰に向けた展開・適応力
が早くなるような印象があります。
職場に復帰してもらえたときには、産業医としても本当によかったなあと思います。
うれしいです。
悲しい現実ですが、事件の後には苦しんでいる方がおられます。