指示待ち組織から、考える組織へ― オシム監督に学ぶ、“任せる勇気”がチームを変える ―

強みを活かせば、職場が変わり
職場が変われば、成果が変わる。
組織変革ファシリテーターのやまちゃんです。
「どう育てたらいいのか、正直わからないんです……」
そう打ち明ける管理職の声を、これまで何度も耳にしてきました。
育成の正解が見えない。話しても響かない。
1on1をしても“雑談”で終わってしまう──。
部下育成に悩む多くのマネージャーがぶつかる壁です。
でも実は、その多くが「部下の強みを知らない」ことから始まっています。
“どう伸ばすか”よりも先に、“どんな資質を持っているか”を理解する。
それが育成の出発点であり、1on1の可能性を最大限に広げる鍵になるのです。
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目次
1、1on1が「ただの面談」で終わる理由
- 「1on1をやっているけど、なんとなく表面的な会話で終わってしまう」
- 「部下の本音が引き出せない」
そんな悩みを持つ管理職は多いはずです。
その原因のひとつは、マネージャー側が
「部下の強み」ではなく
「足りないところ」ばかりに目を向けてしまっていることにあります。
- なぜもっと積極的に動かないのか?
- なぜ報連相が遅いのか?
- なぜ成果が出ないのか?
こうした問いかけは、“マイナスをゼロにする”ための視点です。
一方で、強みの視点とは、“今あるものをどう活かすか?”という問いです。
この視点の転換が、1on1の質を大きく変えるのです。
2、ストレングスファインダーが育成の土台になる理由
Gallup社が開発した「ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)」は、
その人が“自然にやってしまう感情・思考・行動のパターン”を34の資質で可視化するツールです。
この診断により、例えばこんな資質が見えてきます:
- 親密性 → 深い信頼関係を築くのが得意
- 達成欲 → 毎日、成果を積み重ねるのが好き
- 学習欲 → 新しい知識を得ると燃える
- 指令性 → 状況をリードすることに喜びを感じる
こうした資質は、本人にとっては“当たり前”すぎて自覚していないことも多く、
他人と比べて初めて「自分の強み」として認識されます。
そして、マネージャーがこれを理解していると、
「何が得意で、どんなときに力を発揮するのか」が明確になり、
1on1での問いかけや、任せ方に具体性が出てくるのです。
※ストレングスファインダーとは?
米Gallup社が開発した診断ツール
全世界で3,000万人以上が実施しており、人材育成、組織開発に活用されている。
詳細が知りたい方は、こちらをクリック
3、実例:部下の「やる気が見えない」状態からの変化
ある製造業のチームで、リーダーがストレングスファインダーを導入し、
1on1に資質の視点を取り入れた例をご紹介します。
以前は「やる気がない」と見えていた20代社員Aさん。
報告も遅く、会話も少ないため、リーダーは指導に悩んでいました。
診断の結果、Aさんの上位資質は:
- 内省
- 原点思考
- 慎重さ
- 学習欲
リーダーは驚きました。
Aさんは、じっくり考え、正確に動きたいタイプだったのです。
雑談ベースの1on1では深まらず、
話しかけられるのも苦手だったことが見えてきました。
そこで、事前にテーマを伝えて1on1を設計し、
- 「どんなふうに過去の経験が今に影響している?」
- 「この業務をどう改善したら、もっと成果が出そう?」
といった質問を用意。
数回の面談で、Aさんは少しずつ自分の意見を言えるようになり、
「自分の考えを尊重してくれる」と感じたことで行動も前向きに変化していきました。
4、資質別・1on1の問いかけ例
以下に、資質ごとに効果的な問いかけの例をいくつか紹介します:
- 達成欲:「今日、一番達成感があったことは?」
- 最上志向:「もっとよくできるとしたら、どこを変えたい?」
- 共感性:「最近、誰かの気持ちに寄り添ったと感じたことは?」
- 着想:「何か新しいアイデアが浮かんでる?」
- 責任感:「どんなことを任されると、モチベーションが上がる?」
資質に合わせた問いかけは、部下の“らしさ”を引き出し、
「わかってもらえている」と感じてもらえる効果があります。
5、1on1は“正解を出す場”ではなく“気づきを広げる場”
1on1をうまくやろうとすると、多くのマネージャーが“答え”を出そうとします。
でも、それでは部下の内省の余地がなくなり、成長のきっかけも減ってしまいます。
重要なのは、部下の「感情・思考・行動」に興味を持ち、
強みというフィルターを通じて対話を重ねること。
「自分はこういう資質がある」
「こういう時に力が出る・落ちる」
そうした自己理解をサポートする1on1こそ、部下の“自律的成長”の源になります。
【次回のコラム】
「優秀だけど孤立する人」の資質とは?-最上志向・分析思考の取り扱い-
強い才能ゆえに孤立してしまう人。
リーダーとして、どう支えれば活かせるのか?をご紹介します。
弊社では
・ストレングスファインダーを活用した1on1支援、導入研修、
・資質別フィードバックスクリプト
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