【人材育成】部下が“育たない”のは、上司が“育てすぎている”からかもしれない

自分の才能をフルに発揮して
イキイキ働く人・組織を共創する
組織変革・ストレングスリーダー育成の専門家
山田裕介です。
仕事のパフォーマンスが高く、順調に昇進しているはずの幹部社員ほど、
「なぜこの組織で頑張り続けるべきなのか?」という疑問を抱き、
離職を選ぶケースが増えています。
成果を出しても「働く意味」が見えなければ、
人は組織に留まり続けることができません。
本コラムでは、優秀な幹部社員が組織へのコミットメントを失う原因と、
その対処法、そして今後目指すべき組織の在り方について解説します。
1、なぜ優秀な幹部ほど「働く理由」を見失うのか?
① 仕事の成果が「評価」だけにつながると、やりがいを感じにくい
昇進し、周囲からの評価が高くなればなるほど、
「自分は評価されている」という実感があるはずなのに、
「このままここで頑張り続ける意味があるのか?」という疑問が湧いてくる
このような悩みを持つ幹部社員は少なくありません。
その理由の一つは、仕事の成果が「評価」だけに紐づいていると、
次第にやりがいを感じにくくなるから です。
・「このプロジェクトを成功させても、次の仕事が増えるだけでは?」
・「評価されても、仕事の本質的な充実感につながっているのか?」
こうした疑問を抱えたままでは、どれだけ評価されても満足感が得られず、
「会社のために頑張る意味がわからない」という状態に陥ります。
② 組織のビジョンと自分のキャリアのつながりが見えなくなる
組織が目指す方向性と、自分自身のキャリアの成長が一致していると、
人は組織へのコミットメントを強く感じます。
しかし、昇進するにつれて業務が増え、目の前の仕事に追われるようになると、
会社のビジョンとのつながりを見失いやすくなるのです。
・「会社の成長と自分の成長が本当にリンクしているのか?」
・「この組織の目指す方向性に、自分は共感できるのか?」
会社のために頑張っているつもりが、
いつの間にか「会社の歯車として働いているだけでは?」と感じるようになれば、
モチベーションは低下し、転職を考え始めるのは当然のことです。
③ 「頑張る理由」が“義務感”になり、やりがいを感じられなくなる
昇進した幹部社員には、「責任感」が強い人が多いものです。
しかし、その責任感が「自分がやらなければならない」という義務感に変わると、
仕事の楽しさを感じられなくなってしまいます。
・「チームを引っ張らなければならない」
・「このポジションだからこそ、やめるわけにはいかない」
こうした思いが強くなると、「やらなければならない」という義務感ばかりが先行し、
「やりたい」「挑戦したい」というポジティブなモチベーションが失われる のです。
2、「働く理由」を見失わせないための3つの対処法
① 「仕事の成果」を評価だけでなく、意義やインパクトと結びつける
成果を出すことが「評価される」ことだけにつながるのではなく、
「誰の役に立ち、どんな変化を生み出したのか?」という視点を持たせることが重要 です。
具体的な取り組み
・プロジェクトの成功が、どのように会社や社会に貢献したのかを明確にする
・社内外の関係者から「仕事の影響」をフィードバックする機会をつくる
・評価制度の中に、「社会的・組織的なインパクトを感じられる要素」を取り入れる
例:「この取り組みが、社内の○○部門の働き方を大きく改善した」
こうした視点を持つことで、仕事の成果が単なる数字や昇進ではなく、
「自分が何かを変えた」という実感 につながります。
② 組織のビジョンと、個人のキャリアの方向性を定期的に擦り合
「組織の成長」と「個人の成長」を一致させることが、
働く意義を持続させるカギ になります。
具体的な取り組み
・経営陣と幹部社員が定期的にビジョンを共有し、対話の機会を持つ
・「この会社で自分がどう成長できるのか?」を考えるキャリアプラン面談を実施する
・会社の未来を幹部社員が主体的に考えられる機会を提供する
例:「あなたのキャリアの成長を考えたとき、この会社でどんなチャレンジができるか?」
こうした問いを定期的に持つことで、「自分の未来」と「会社の未来」が
リンクしている実感 を持つことができます。
③ 「役割を超えた挑戦」を奨励し、義務感を楽しさに変える
幹部社員ほど、日々の業務に追われ、「新しい挑戦をする機会」を失いがち です。
仕事が義務感にならないよう、「役割を超えて挑戦できる仕組み」 を整えることが重要です。
具体的な取り組み
・「幹部社員向けの新規プロジェクト」を立ち上げる
・別部署の業務に関われる「社内異動・プロジェクト制度」を導入する
・ 個人の興味や強みを活かせる「副業・兼業の推奨」
例:「新規事業の企画を幹部社員が提案できる制度をつくる」
挑戦できる機会があることで、「働く義務感」ではなく
「やりたいことを実現できる場所」として組織を捉えられるようになる のです。
3、まとめ:幹部社員が「ここで働き続けたい」と思える組織へ
放置すると…
・優秀な幹部社員が、「自分の成長が止まる」と感じ、転職を考え始める
・組織のビジョンと個人のキャリアが一致せず、モチベーションが低下する
・「仕事を楽しむ」機会を失い、義務感だけで働くようになる
これからの組織に必要なこと
・成果を「評価」ではなく「意義」と結びつける
・ビジョンとキャリアの方向性を定期的に擦り合わせる
・幹部社員にも「挑戦できる機会」を提供する
経営者として、「幹部社員が組織にいる意味」を感じられる環境を整えられているか?
今こそ、組織を見直すタイミングではないでしょうか?



