揖保乃糸の歴史!播州そうめんづくりはここから始まった!
歴史ある「揖保乃糸」の美味しさは、「揖保乃糸」の生産者で作る事業協同組合「兵庫県手延素麵協同組合」が伝統的な製法を受け継いでいるからです。そして、その技術を証明する「手延べ製麺技能士」という国家資格があり、後継者の育成にも力を入れています。
美味しい「揖保乃糸」を作る資格「手延べ製麺技能士」とは
製麺技能士は厚生労働省認定の国家資格の一種です。製麺の中で手延べそうめん類製造作業、機械生麺製造作業、機械乾麺製造作業に分かれるのですが、手延べそうめん類製造作業の単一等級に合格すると、「手延べ製麺技能士」に認定されます。
単一等級の実技試験は2種類行われます。1種類目は与えられた麺帯で油返しを行います。その後、よりをかけながらロールに細くしながら巻き入れていく細目作業、さらに細くするこなし作業を行い、指定された太さに成形し、歩留りを測るまで、40分間の試験時間内に行います。
2種類目は与えられた麺紐を効率的に延ばしていく小引作業を行った後、室箱(おも)に収め、はたに麺紐を掛けて延ばしてさばき、乾燥させる門干し作業を行います。そして、指定された太さに成形し、歩留りを測るまで、試験時間1時間40分の間に終了させます。
この試験に合格すると、素麺を美味しく作り上げる熟練の技術と専門知識を身に付けていることが認定されます。
揖保乃糸を製造できる組合員は、「手延べ製麺技能士」を積極的に取得できるよう取り組んでいます。
美味しい「揖保乃糸」を作り続けるための後継者育成
兵庫県手延素麵協同組合は「揖保乃糸」の美味しさを守る伝統的な製造方法を続けるために、後継者の育成に力を入れています。
「揖保乃糸」の製造を担う組合員に、技術研修や技術指導を行う研修施設「メンテック林田」で、伝統の技術を身に付けてもらうために指導を行っています。
また、品質を維持するために21人の検査指導員もいます。
伝統技術を身に付けた「手延べ製麺技能士」によると、「素麺のもとになる麺生地は生き物のように繊細」といいます。麺生地は寒さや暑さにとても敏感で、「手延べ製麺技能士」は麺が美味しくできる最適な環境を作ることも重要な仕事です。
素麺の製造を行う10月から翌年4月にかけて、製造現場では毎朝午前4時から仕込み作業を行います。小麦粉に塩と水をこね合わせて、素麺の麺生地を作るのですが、生き物のように繊細なため、こねている時の様子を見ながら調整していきます。
麺生地は天候によって思うように伸びなかったり、切れたりすることもあります。原料のひとつである播州小麦の品種によって、微妙に水や塩を多めにしたり、減らしたりと、組合の基準を守りながらも配合比率を変える必要があります。
その日の温度や湿度により配合比率を微妙に変えて調整するのですが、そこが「手延べ製麺技能士」や製造職人の腕の見せ所です。
そして、掛巻機で八の字を描くように棒状によりを掛けた麺を手作業で伸ばしていく試し引き作業では、熟成の具合や天候を予想しながら力の掛け具合を調整するのですが、長年の経験が求められます。
また、手延べ素麺は麺の太さが1.7mm未満でなければ素麺とは呼べません。「揖保乃糸」は7種類以上の商品があり、特級品や上級品になると麺の太さが0.7mmから0.9mmとかなり細くしなければいけません。
そのためには、門干し作業で、麺紐を1.6mから2mへと徐々に細長く延ばしながら太さの水準に合わせていきます。
素麺が完成するまでの20以上の作業工程は、その日その日によって気温、湿度、風などの違いがあるため、経験の短い職人は毎日が勉強です。
美味しい「揖保乃糸」を作るために設立された研究施設
「揖保乃糸」ブランドの品質を守る兵庫県手延素麵協同組合は、原材料の仕入れ、製品の管理および販売を行い、製品の生産を行なっています。
その中で、製品の科学分析や科学的検証によって品質の均一性の向上を目指すための研究室を備えています。各種分析機器を活用し、手延べ素麺の特製や品質を検証しています。さらに原材料の分析や研究も目指しています。
また「本部試作場」では、新製品の開発のための研究や技術改良の研究も実施しています。ここでは組合員向けの製造技術研修も行っています。
このように「揖保乃糸」は、伝統を守りながらも科学的に美味しさを向上させる研究を行い、製造の技術改良により味の追求をしているのです。