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髙岡恭平

人生100年時代の健康寿命リフォームのプロ

髙岡恭平(たかおかきょうへい) / 福祉住環境コーディネーター

森林浴生活株式会社

コラム

窓の断熱は必要?冬の寒さ対策だけではなく、夏の暑さ対策にも効果的

2019年6月22日 公開 / 2020年4月24日更新

テーマ:リフォーム 窓

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 断熱材 効果

家づくりにおいて、「断熱」というキーワードを耳にする機会が多いでしょう。

日本には四季があり、冷暖房なしで過ごせる快適な季節は1年を通じて半分以下といえます。冬暖かく夏は涼しい家を実現するために、断熱は欠かせません。今回ご紹介する窓は、家の中でもっとも外気の影響を受ける場所です。そのため、窓の断熱について考えることが大切です。


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<住宅における断熱の意味とは>
そもそも断熱とはどういう意味でしょうか。これは文字通り「熱」を「断つ」ということです。

熱は温度の高いところから低いところへ移動します。冬場は温かい家の中から寒い屋外に熱は移動し、夏場は暑い屋外から家の中に移動します。冬に暖房を入れて部屋を暖めても、切ると寒くなるのは、熱が外に逃げていくからです。

夏は外気温や放射熱の影響で、壁や屋根や窓が熱せられ、熱が室内に入ってくるため、冷房を切ると暑くなります。

このように、家には「熱」の出入りを「断つ」断熱が必要です。住宅における断熱とは、内と外の熱移動を遮断して、外気温が室内に伝わらないようにすることを指します。


【湾曲した外壁面の出窓に、木製内窓と杉の腰板】

<断熱をするメリットとは>
ひと昔前には断熱という発想がありませんでした。日本家屋は「夏に合わせる」という考え方で建てられていたため、冬はすきま風が入ったり、部屋の中央は温かいのに、窓際は寒かったり。暖房を入れると上のほうは温かいのに、足元はいつまでたっても寒いという環境でした。

断熱性能が低いと、家の中の温度差が原因で起こるヒートショックのリスクも高まります。

近年は、屋根や壁に断熱材を充填し、高気密・高断熱を謳う住宅が増えています。断熱を施すことによって、熱の移動が軽減されるので、冬は暖かく、夏は涼しく、また家の中の温度差も少なくなります。

エアコンやストーブの使用も少なくなるので、省エネにもつながります。家の中の温度が一定となるため、温度差によって起こるヒートショックの可能性も減らすことができます。

さらに結露も発生しにくくなるため、ダニやカビの繁殖を防ぐこともできます。結露は建物を傷める原因にもなるので、これを防ぐことができるのもメリットです。


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<熱は大半が窓から逃げて行く>
熱はどこから逃げて、どこから入ってくるのでしょうか。

壁や天井、床からも出ていきますが、実は窓やドアといった開口部が最も大きな割合を占めています。

ある調査では、夏に冷房の効いた室内に外の熱が入ってくる割合は窓からが7割と一番多く、次いで外壁、屋根、換気口、床となっています。

また、冬に暖房の効いた部屋から熱が出ていく割合は、窓からが約5割となっています。

極端な話、断熱のことだけを考えれば、窓がないほうが断熱効果は上がりますが、人が住む家ですのでそんなわけにはいきません。


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【同上 断面、外がアルミ、室内側が樹脂です】

<窓の断熱こそ重要>
一般的な住宅の窓は、ガラス1枚であるため熱を通しやすく、家の中で圧倒的に熱の出入りが多いところとなっていいます。

断熱というと、壁や天井に断熱材を入れることだと思われがちですが、窓を断熱しないと不十分ということがおわかりいただけたと思います。

窓の断熱方法はDIYでできるものから、業者に依頼して施行するものまでさまざまです。カーテンやブラインドを閉めるだけでも窓とカーテンの間に空気の層ができるので、熱の出入りが幾分かは少なくなります。
またカーテンレールのあたりから熱が逃げないようにするカーテンレールカバーも市販されています。これだけでも断熱効果は高まりますが、まだまだ十分とはいえません。しかし、レースのカーテンがカビだらけになるのはよく聞く話ですので、窓自体の断熱が必要でしょう。

窓の断熱には次のような方法があります。

□窓断熱シート
窓に貼るシート状の断熱材。ガラスに貼ることで、シート自体の効果と、ガラスとシートの間に空気が入るので断熱効果が高まります。

□窓断熱コーティング
ガラス専用の断熱コーティング剤を塗る方法。業者に依頼するのが一般的です。

□断熱フィルム
断熱シートと同様、窓に貼る方法。シートよりも断熱性能が高く、業者に依頼が必要です。

□複層ガラス(ペアガラスともいいます)
サッシはそのままで、複層ガラスに交換する方法。複層ガラスは2枚のガラスの間に空気層があり、この空気層が熱の出入りを遮断するので、1枚ものの単板ガラスより断熱効果が高くなります。工事が必要です。

□真空ガラス
サッシはそのままで、真空層のあるガラスに交換する方法。一般の複層ガラスの約2倍の断熱性が特徴です。耐風強度もあるので高層マンションにも適しています。専門家による工事が必要です。


【鉄筋コンクリート戸建中古住宅に施工した木製内窓】

□二重窓(内窓)
窓の内側にもう一枚「内窓」を設置する方法。マンションは普通、勝手に今あるサッシやガラスを交換できないのでこの方法になります。外窓と内窓の間に空気の層ができ、断熱効果が飛躍的に高まります。内側のガラスを複層ガラスや高断熱ガラスにすると、さらに効果はアップ。断熱効果だけでなく、内窓は防音や防犯にも役立ちます。こちらも簡単な工事が必要。

住んでいる家を、いきなり高気密高断熱住宅にするのは安易なことではありませんが、今できることから手をつけると良いと思います。

窓の断熱は比較的手軽にできます。効果が高いものほど費用がかかりますが、省エネにもつながりますので、長期的に見れば決して高い買い物ではないはずです。

何よりも快適さと健康を手に入れることができるのですから、家の中の暑さや寒さにお悩みの方は、ぜひ窓の断熱リフォームをご検討ください。

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髙岡恭平(森林浴生活株式会社)

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