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髙岡恭平

人生100年時代の健康寿命リフォームのプロ

髙岡恭平(たかおかきょうへい) / 福祉住環境コーディネーター

森林浴生活株式会社

コラム

フローリングでシックハウスにならない床材は?自然素材が有効な理由とは

2019年6月18日 公開 / 2020年4月24日更新

テーマ:リフォーム フローリング

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: フローリング 素材フローリング 工事

どんなに忙しい方も一日の終わりには家に帰ってきます。赤ちゃんやお年寄りなどは、ほぼ24時間家で暮らします。私たちの生活と家は切っても切れない関係にあるといえます。

そのため、住空間は安全で快適なものでなくてはならないはずです。しかし、その家が原因で健康を害する場合があります。それはシックハウス症候群です。今回はシックハウス症候群とその対策についてお伝えいたします。


【シックハウス症候群は、自宅にいる時間が長い主婦や幼児、子供さんに発症しやすい】

<シックハウス症候群とは>
新築やリフォーム後の住まいで、風邪や花粉症のような症状に悩まされたら、それはシックハウス症候群かもしれません。

シックハウス症候群とは、住宅内の空気汚染が原因で引き起こされる健康被害の総称です。

代表的な原因としては、建材や内装材などから放散されるホルムアルデヒドや、トルエンをはじめとする揮発性有機化合物が挙げられます。

症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、頭痛、湿疹、めまい、嘔吐など人によってさまざまです。また同じ生活をしているのに、全く影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。

こうした症状は新築の場合だけでなく、壁紙や床のリフォーム、家具を購入した後などにも発症します。

さらにシックハウス症候群は、化学物質過敏症との関連も指摘されています。

化学物質過敏症は、化粧品や食品添加物、合成洗剤で洗った衣類、たばこの煙などさまざまな化学物質に過敏に反応してしまう病気です。シックハウス症候群がきっかけで化学物質過敏症を引き起こし、日常生活が困難になる可能性もあるのです。


【マンション用の複合フローリングは釘を使わないため、今でも大量のボンドを使います】

<建築基準法でシックハウスは改善された?>
住まいに使われている化学物質で、もっとも有害なものはホルムアルデヒドです。接着剤などの原料として、合板などのさまざまな建材に用いられています。

2003年に建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドの揮発量に応じて、建材に等級が付けられ、もっとも少ない等級の建材には「F☆☆☆☆(フォースター)」の印が付くようになりました。

この基準に達していない建材は、内装材として使用できる量を制限されています。さらに新築の家には、常時換気できる設備の設置が義務づけられるようになりました。

しかし、建築基準法を満たせばシックハウス対策は万全かといえばそんなことはありません。建築基準法で規制されているのは、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの2物質のみで、化学物質はほかにもトルエン、キシレンなどさまざまな種類があります。

また内装材だけでなく、新しい家具やカーテンも化学物質の発生要因とみられていますし、ダニやカビ、ホコリによる空気汚染でシックハウス症候群を引き起こす場合もあります。

依然としてシックハウス症候群に悩まされている方はいらっしゃるのです。


【ダニもシックハウス症候群には影響を与えます】


【ダニの死骸も深刻な影響を及ぼすので、殺さずにいなくなるように仕向ける方が効果大です】


【ダニの糞も影響があります】

<予防・対策の基本は換気をすること>
シックハウス症候群を発症しないようにするためには、対策や予防策を講じる必要があります。

シックハウス症候群は次の3つが揃うと発生しやすいと言われています。

〇室内に有害物質があったり、ダニやカビなどが繁殖したりしている。
〇住宅の気密性が高い。
〇換気をしない。



【壁のカビも問題を大きくします】

現代の住宅は省エネ対策とアルミサッシ窓によって高気密高断熱となっており、部屋の空気が自然に入れ替わることがないので、化学物質が蓄積しやすい環境にあります。

朝起きたら窓を開けて換気扇を回す、帰宅時も窓を開けて換気扇を回すよう心がけましょう。特に新築の家の場合、数カ月間は積極的に窓を開けて、外の新鮮な空気を取り込むのがよいでしょう。

高温多湿の季節は、室温があがり有害物質の揮発量が多くなり、さらにカビやダニも発生しやすくなります。

夏にエアコンをつけずに外出すると、家の中が高温になっています。化学物質も相当量充満していることが考えられるので、常時換気をするとともに、まず窓を開けて風を通しましょう。その後、除湿器やエアコンのドライモードなどで、適度な湿度に保つことも大切です。


【マンション用 杉の置き床生活】

<根本的な解決策は自然素材の家づくり>
室内の有害物質を、換気によって排除するよりも有効な方法があります。

はじめから有害物質を放散する建材を使わないというのが、根本的な考え方ではないでしょうか。

つまり、シックハウスの心配のない自然素材をできるだけ住宅建築に取り入れることです。リフォームの機会にも、自然素材の採用を検討していただきたいものです。



【壁や天井に漆喰を使って調湿効果を高めることも効果があります】

心身ともに健康に暮らすためには、無垢の木、自然の石、壁は漆喰というように、自然素材を使った家づくりが理想といえます。

自然素材だけで家を建てるのは難しくても、長くいるリビングや寝室、子供部屋だけでも、自然素材を取り入れてみてはいかがでしょうか。

特に、家にいるときはずっと体と接している床材は、合板のフローリングではなく、無垢フローリングにすると、有害物質の放散を抑えられるだけでなく、調湿効果でカビやダニの予防にもつながります。

無垢材にすると、自然の表情や香りに癒され、ぬくもりを感じることもできます。さらに無垢材には空気中にある有害物質を吸着する働きもあります。

これから新築、リフォームの予定がある方は、建築に使う素材にも気を配り、健康的に暮らせる家づくりを目指しましょう。

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