無垢材を床板に使う健康上のメリットとは?
(グレーシィ須磨アルテピアⅢ番街 モデルルーム)
触覚実験とは、手触り・足触りの実験です。ここでは、天然木材が手や足に触れた時に生体がどんな反応をするか、いろんな素材と比較しながら進めています。
【実験1 杉のカンナ削り面、綿、金属の手触り実験】
目をつぶって座った状態で90秒間、撫でないで触ってもらう。
(主観評価)
杉のカンナ削り面と綿は快適だが、金属は不快。
(収縮期血圧)
スギのカンナ削り面と綿は変化がなかったが、金属面では有意に上昇し、生体はストレス状態になった。
(脳血流動態)
スギカンナ削り面では上昇傾向で、快適でワクワクした覚醒状態になった。
金属面では、有意に低下し、不快でストレス逃走反応を示した。身体が逃げたんですね。
綿は最初、快適だったが、途中で低下し、興味を失った状態になった。
【実験2 ヒノキのカンナ削り面、金属の手触り実験】
触れているものが見えないようにカーテン越しに肘を起点として手を動かして触ってもらう。
目を開けた状態で60秒間。
(主観評価)
金属は冷たいのとつるつるした表面の感じが嫌われて不快。
ヒノキ材は自然で暖かく、落ち着く感じがして快適と評価された。
(収縮期血圧、瞳孔径)
金属は、収縮期血圧が有意に上昇し、瞳孔径も拡大して明らかに生体はストレス状態になり、60秒後でも元に戻らなかった。ヒノキ材は、一過性には両数値とも上昇したが、直ぐに接触前の状態に戻った。
(杉のカウンター付食卓 横尾モデルルーム)
【実験3 木材と金属の比熱をそろえた手触り実験】
金属と木材では、熱伝導率の違い、いわゆる比熱が違うので、金属はホットプレートで温め、木材は冷蔵庫で冷やして同条件にした。
実験素材は、ナラ材・冷やしたナラ材・桧・杉・金属・温めた金属・アクリル・冷やしたアクリル・塗装したナラ材の9種類。
(主観評価)
ナラ材・桧・杉は快適で自然な感じと高評価された。金属・冷やしたアクリルは強く不快で、人工的な感じと評価された。温めた金属は快適だが、人工的な感じがしたと評価された。冷やしたナラ材は最も不快だったにも関わらず、自然な感じと評価された。
このように、同じ主観評価の中でも対照的な評価が同時に現れて一致しなかった。
温度以外にも生体が感じるものがあることが示唆された。塗装ナラ材は評価できなかった。
(収縮期血圧)
ナラ材・杉・桧は快適で血圧も上昇せず、鎮静的でリラックス状態になった。
金属と冷やしたアクリルは強く不快で血圧は有意に上昇し、ストレス状態になった。
アクリルの快適感は不明だったが、血圧は僅かに上昇傾向。
冷やしたナラ材は主観評価では最も不快なので、血圧は上昇すると予想されたが、結果は上昇せず、ストレス状態にならなかった。
木材独特の凹凸感が自然な感じを生じさせたと判断。木材や金属の生理応答の違いは、触った時に冷たいか暖かいかだけでなく、その表面の様子が大きく関与することがわかった。
(上の開いた欄間つきの和室 横尾モデルルーム)
【実験4 無塗装木材と樹脂塗装木材の手触り実験】
木材の表面の違いで生体反応がどのように変わるかを調べた実験。
① 少しざらざら感がある無塗装スギ材。
② ザラザラ感がましなオイルフィニッシュ塗装(染みこむ塗装)のスギ材。
③ すべすべのポリウレタン塗装のスギ材。
④ つるつるの金属。
⑤ 手を宙に浮かした状態。
目をつぶって座った状態で90秒間撫でないで触る。上記①~⑤の順番はランダム。
(主観評価)
好き群は、無塗装とオイルフィニッシュ塗装で、一番好きは無塗装。
嫌い群は、金属とポリウレタン塗装で一番嫌いはポリウレタン塗装。
自然感がして良かったのは、無塗装とオイルフィニッシュ塗装で、人工的な感じがしたのは金属とポリウレタン塗装で両者大差なし。
抑うつ・疲労尺度が弱くて生体に負担をかけないのは、無塗装とオイルフィニッシュ塗装。
それらが強くて負担をかけるのは、金属とポリウレタン塗装。
ポリウレタン塗装が主観的に一番ストレス状態になった。
(収縮期血圧)
無塗装とオイルフィニッシュ塗装では一過性で上昇するが、速やかに接触前に戻って生体はリラックス状態になった。ポリウレタン塗装は、血圧が高い状態で推移し、典型的なストレス状態が継続した。
無塗装スギ材や表面に硬い膜をつくらないオイルフィニッシュ塗装スギ材が、主観評価でも生理反応でも、生体をリラックス状態にさせることがわかった。一方で、マンション床材では定番のフローリングが生体を強いストレス状態にすることもわかった。
健康面だけを考えると、塗装概念の見直しをする必要があるという結論になりますね。
(キッチンの扉だけを無垢材にしました。グレーシィ須磨アルテピアⅢ番街 モデルルーム)
森林浴生活では、このような医学博士たちの実験結果をマンションライフに反映させるべく、製品開発や施工方法の改善をはかっています。
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