不動産を売却する際のリスクとは?
こんばんは、アルデ株式会社の林﨑です。
当コラムをいつもご覧頂き、有難うございます!
当たり前の話しですが、私たち不動産仲介業者は
不動産(売買・賃貸とも)の契約を仲介して初めて、
報酬=仲介手数料を頂戴します。
ですので、いくら頑張って募集活動等を行っても、
他社で成約されると売上げは「ゼロ」、いえ、むしろ
動いた分だけマイナスとなります。そのような背景が
あるにしても、正統な業者として、やってはいけない
事があります。
さて、その「やってはいけない事」とは?
流通市場の不活性化につながる?!
物件が世に出るまでの簡単な流れですが、まず
売主様より不動産業者へ査定依頼があります。
その後、価格等の募集条件が確定すると、媒介
契約を締結します。
この間に、業者は物件の調査(現地調査・役所
調査)を行います。そして、物件資料を作成し、
売却活動を開始します。と、まぁこんな感じです。
ここで問題なのが、宅地建物取引業法第34条2
第5項です。
(条文)
宅地建物取引業者は、(専属)専任媒介契約を
締結したときは、契約の相手方を探索するため、
国土交通省令で定める期間内(※)に、当該専任
媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、
所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土
交通省令で定める事項を、国土交通省令で定める
ところにより、国土交通大臣が指定する者(以下
「指定流通機構(レインズ)」という。)に登録しな
ければならない。
※媒介契約締結日より、専任媒介契約は
7日以内、専属専任媒介契約は 5日以内に
売却物件の登録をしなければいけない。
宅建業法では、このようになってます。
しかし!ここで本当に「問題」なのは、登録したか
否か、ではありません。実際、ほとんどの業者は
物件を登録してます。
じゃあ何が「問題」なのか?
なぜ、囲い込むのか?
A社が(専属)専任媒介契約を締結し、指定流通
機構へ登録を済まし、相手方(買主)の探索を開始
しました。
しかし、B社やC社が、A社にその物件の問い合わせ
を行った所、「現在、商談中です。」との回答。
一般的には、『商談中なら仕方がないか~』
って、なりますよね?
実は!それがいわゆる「物件の囲い込み」なんです。
当然、全ての業者ではありませんが。
2014年2月1日より施行された「レインズ利用
ガイドライン」の改訂ですが、その中身の抜粋です。
(レインズ利用規定 第18条)
元付業者は登録物件に関し、客付業者から物件
詳細照会、現地案内申込の連絡を受けた場合
には、正当な事由がある場合を除いて拒否しては
ならない。
(レインズ利用規定 第19条)
元付業者は、正当な事由がないかぎり、原則と
して客付業者から物件購入等の申込みの連絡を
受けた順に交渉を開始しなければならない。
ちなみに、このレインズは元々不動産業者のみ
が閲覧可能でした。その為、実際にどのような
状況になっているか、売主は把握しようがありま
せんでした。
それが、改訂以降、このレインズにて売主自身が、
少しですが状況を確認出来るようになりました。
具体的には、「公開中」「書面による購入申込み
あり」などの表記です。
ただ、実際にどれくらいの売主が、この状況を
確認しているのでしょうか?
残念ながら、その実態については不明です。
推測ですが、自分が業者へ任せたのに、
しょっちゅう状況を閲覧する売主は稀ではない
でしょうか。
それ故、未だに囲い込みが蔓延しているのが実情
です。
ここで、改めて仲介手数料の計算方法について
説明します。
物件の成約価格が2,000万円だった場合、
速算式:(2,000万円×3%+6万円)×消費税率8%=712,800円
となります。元付(売主側)業者は、物件を流通
市場に出して、幅広く他業者へ告知し、早期
成約を目指す訳ですが、自社で買主を見付け
れば、前述の、
仲介手数料×2(売主分・買主分)=1,425,600円
の報酬を得る事が出来ます。
同じ1件の成約でも、得る手数料が倍となる為、
正統派ではない元付業者は囲い込みをするのです。
コンプライアンスに過敏な昨今、更に改訂施行が
あっても、大手ですら、まだ「囲い込み」を
行っているのが現実です。囲い込み事例が減る
事はあっても、残念ながら、今後も無くなる事は
ないでしょう。
売主の為になる?それとも…
今でも問題視されている「囲い込み」ですが、
これは
結果的に売主の為になる事なのでしょうか?
答えは「否」です。
自社又は営業マンの数字にはなっても、売主の
為になるケースは無い、と言い切っても過言では
ありません。
何故ならば、買主がどの業者に行き、どんな物件
を探しているかは誰にも分からないからです。
大手の仲介業者は、広告やネームバリューで
集客は出来るでしょうが、常に自社で物件を抱え
ている訳ではありません。
他社にも協力を得て初めて早期成約が可能と
なるのです。
顧客は、駅から遠い、ノーブランド、店舗が小さい、
だからといってそのような業者を必ずしも敬遠する
事はないのです。という事は、売却物件を広範囲
に告知する事にどれほど意味があるのか、簡単な
理屈ですよね?
下手をすれば、募集活動を毎日頑張ってます!
と売主に報告し、実際には何も動かない。
そして、時間が経ち、どうも市場の動きが鈍い
ので、思い切って価格を下げませんか?
いや、むしろ下げないといつまで経っても売れ
ないと思いますよ。と言われ、大幅な価格改定を
行った時に初めて募集活動を行う。
結果、周辺の物件より低価格になり、価格改定後、
早期成約に至る。
「ほら、提案した通り、下げればすぐに売れま
したよ!」
「良かったですね!」
と、いかにもなセリフを営業マンが言う。
結果、売却出来れば良いのかもしれませんが、
このやり方を私は決して好きではありません。
売主の意向を尊重し、その時の相場で、早期
成約を目指す事が、やはり売主の為になると
考えます。
根強い悪しき慣習についてお話ししましたが、
大手・中小企業に関係なく、正統派の業者・営業
マンはちゃんと数多くいます。
会って話した相手が信頼出来るかどうかを、売主
自身が見極める事も肝要ではあると思います。
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