弁護士は診療録を読むことができると思いますか?
医療訴訟になるような事件を私は「医療事件」と呼んでいますが、一般的には「医療事故」や「医療過誤」とも呼ばれます。
さて、みなさんはこれらの言葉、違いがわかりますか?同じだと思いますか?
医療事故と医療過誤
実は、一般的な言葉の使い方の中では、ほとんど同じだと考えていただいて差し支えありません。
ただ、厳密にいうと少しだけ違います。
「医療事故」は、最も広い総称でといえます。
医療に関する何らかのトラブルという意味で、かなり広く使用することができると思います。
医師や看護師に過失(ミス)がある場合も不可抗力により場合も含まれます。
「医療過誤」はこれより意味がせまく、医師や看護師に過失(ミス)がある場合のことです。
「過誤」は過ちという意味です。
よって、厳密にいえば、「医療過誤」は医師のミスがはっきりしているケースに使用する言葉になります。
「医療過誤を疑っている」という言い方なら正しいですが、まだミスがはっきりしていないのに「医療過誤だ」というのは早計です。
場合によっては医療関係者を警戒させてしまいます。
普通の生活の中ではあまり厳密に考えなくてよいと思いますが、特に「医療過誤」はかなりお医者さんのミスを前提にした言葉であり、思いのほか医療関係者を警戒させてしまう可能性のある言葉なのだということは、頭の片隅に置いておいていただければと思います。
さて、「医療事件」ですが、これは広く「医療機関で生じた事件」という程度に考えていただければと思います。
裁判所に提起された訴訟の一つ一つのことを「事件」と呼ぶので、一つ一つの医療事故紛争を指す言葉としてはこの「医療事件」が最もふさわしいのではないかということで、使っています。
ご参考になれば幸いです。