作業の形骸化がもたらす弊害をなくすには?4つの根本原因と6つの改善策
多品種少量生産工場における作業ミスの防止対策を体系的にまとめると、以下のように
なります。
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(作業ミス防止対策を効果的に進める方法を一緒に考えましょう?)
1. 作業ミスの原因を特定する
・ヒューマンエラー:ルールを守らない、ポカミス、熟練度不足、知識・スキル不足
指示違反など
・作業方法の問題:やりにくい作業方法、間違いやすい作業方法、指示内容の不備
・環境要因:温湿度、塵埃、振動、明るさなど
・設備・治具の問題:使いにくさ、欠陥など
・生産状況:計画の乱れ、設計変更、飛込など
・情報伝達の問題:口頭伝達、情報劣化
・管理システムの問題:手順・標準がない、組織間協力不足、フィードバック不足、
情報共有不足
2. エラープルーフ化(ポカヨケ)の実施
(1)発生防止:ミスの発生を未然に防ぐ対策
・排除:ミスが発生する可能性のある手順や作業をなくす
・代替化:ミスが発生しやすい作業を機械やシステムに任せる(自動化、支援ツール導入)
・容易化:作業そのものを容易にする(共通化、集中化、特別化、個別化、適合化)
・明確化:作業や判定基準の不確かさをなくす
(2)波及防止:万が一ミスが発生した場合に、その影響を最小限に抑える対策
3. 作業手順の明確化と標準化
(1)作業手順書の作成:誰でも同じように作業できるように、具体的な手順を文書化する
・時系列で作業手順を書き出す
・初めて作業する人にもわかるように作成する
・チェックリストを活用する
・重要な箇所は色を変えるなどして強調する
(2)動画マニュアルの活用:作業の様子を動画で撮影し、ミスの起きやすい箇所を洗い
出して改善する
(3)動作経済の原則の適用
・動作を減らす、距離を短くする、同時に行う、楽にする
・作業場所、治工具、機械の配置を工夫する
(4)作業観察シートを活用し、問題点と対策案を記入する
4. 作業環境の整備
・物理化学的環境の改善:騒音、照度、温度、湿度を適切に管理する
・人間工学的側面への配慮:作業スペース、作業姿勢を考慮する
5. 教育訓練の実施
・作業者への教育訓練:作業手順、注意点、品質基準などを教育する
・管理者への教育訓練:現場の状況把握、問題解決能力を向上させる
・OJTによる技能伝承
・多能工化教育:複数の作業をこなせるように育成する
6. 品質管理体制の強化
(1)管理点・点検点の明確化
・管理点:規格、穴径寸法など
・点検点:ドリルの型番、摩耗、径、回転数、送り速度、潤滑油供給量など
・管理点と点検点の関係をマトリクスで明確にする
・点検点の管理目的を明確にする
(2)検査方法の確立
・周辺視検査、官能検査など、適切な検査方法を選択する
・検査基準を明確にする
・測定器の校正を行う
(3)特殊工程の管理
・特殊工程(溶接、熱処理など)の妥当性確認を行う
・熟練技能者のノウハウを形式知化する
(4)トレーサビリティの確立
・物の流れを整理し、識別単位を定義する
・川上から川下までの工程を関連付ける
(5)異常発生時の対応
・原因を特定し、再発防止策を講じる
・是正処置、予防処置を実施する
7. IT技術の活用
・画像処理システム:外観検査の自動化
・センサーの活用:寸法測定、キズ・色判定の自動化
・設備の稼働状況の把握
・生産管理システム:進捗状況の把握、異常の早期発見
・ネットワークカメラ:トラブル時の状況把握
8. 設計段階からの品質作り込み
・DRBFM(Design Review Based on Failure Mode):設計段階で故障モードを
洗い出し、対策を講じる
・新規点・変更点リストの作成:設計変更に伴うリスクを洗い出す
・顧客要求を品質特性に変換して設計に反映させる
9. 継続的な改善活動
・QCサークル活動:現場主導で問題を解決する
・なぜなぜ分析:問題の根本原因を追求する
・データ分析:ヒストグラムなどを用いて、ばらつきを分析する
・レビューで進捗状況を確認し計画の見直しを行う
10. モチベーション管理
・人事制度の見直し
・成果を評価し、褒める
・学びの機会を与える
・チームで課題に取り組む
・個人の裁量を認める
これらの対策を組み合わせることで、多品種少量生産工場における作業ミスの発生を
大幅に減らし、品質向上、生産性向上に繋げることができます。
但し、対策を網羅的に示しているため、優先順位をつけ、自社の弱点となっている
項目を重点的に対策していく事が重要と考えられます。